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マウステーピング(Mouth Taping)って聞いた事ありますか?2018年ごろからチラホラと耳にしていたのですが、最近SNSで話題になってから一気に注目を浴びるようになりました。マウステーピングとはその名の通り、口にテープを貼ることなのですが、より深い睡眠を得られると言われています。今日は、その話題のマウステーピングに本当に効果があるのか、その真相を探ってみたいと思います。
睡眠不足と睡眠障害
米国睡眠財団によるとアメリカ人の約半数が週3~7日間、日中に眠気を感じ、成人の約35%が7時間以下の睡眠時間で睡眠不足や慢性不眠などの睡眠障害で悩んでいると報告されています。また、日本生活習慣病予防協会の調査では、日本人男性の37.5%、女性の40.6%が6時間未満の睡眠時間、男性の32.7%、女性の36.2%が6時間以上7時間未満の睡眠時間しか取れていないことが分かりました。欧米では、体質によって個人差があるものの、ほとんどの成人は7~9時間の睡眠が必要だと推奨しています。
睡眠不足には、次のような症状があります。
- 常に欠伸をする、欠伸の回数が大幅に増える
- 何もしないでじっとしていると直ぐに居眠りしてしまう(例えば、テレビを見ている間など)
- 朝起きても、頭がボーっとして眠気が覚めない
- 一日中眠気を感じる
- 集中力が低下し、気分の上下が激しく、イライラしやすい
睡眠不足が続き慢性になると、高血圧、糖尿病、肥満、うつ病、心臓発作、脳卒中などの深刻な慢性疾患を引き起こす可能性があります。
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鼻呼吸の利点
鼻は一酸化窒素を生成し、肺の酸素吸収能力を向上させます。一酸化窒素は、心臓内を含む身体全体に酸素を運ぶ能力を高め、血管平滑筋を弛緩させて血管を広げます。それだけでなく、一酸化窒素は、抗真菌性、抗ウイルス性、抗寄生虫性、抗菌性があるため、免疫系をサポートします。
鼻で呼吸すると次のような利点があります。
- 鼻はフィルターとして機能するため、花粉を含む空気中の小さな粒子の侵入を防ぎます。
- 鼻は吸い込んだ空気に湿気を加え、肺や気管支の乾燥を防ぎます。
- 鼻は、冷たい空気が肺に到達する前に体温と同じになるように空気を温めます。
- 鼻呼吸は、吸い込む空気の流れに抵抗を加え、肺の弾力性を維持し、酸素摂取量を増加します。
- 不安を軽減します。
- 血圧を低下させます。
- 口内の健康をサポートします。
口呼吸
普段鼻呼吸をしている人でも、睡眠中に口呼吸していると気づかない場合があります。睡眠中、口呼吸する人には次のような症状があります。
- いびき
- 口渇
- 口臭
- かすれ声
- のどの痛み
- 起きた時に疲れが取れていなかったり、イライラする
- 慢性疲労
- 物忘れ
- 目の下のくま
- エネルギー不足
口呼吸は口の中が乾燥し、唾液が口内の菌を洗い流すことができないため、口臭、歯肉炎や虫歯などの歯周病、のどや耳の感染症の原因となる可能性があります。また、血中の酸素濃度を低下させ、睡眠時無呼吸、高血圧や心不全に繋がる可能性、そして肺機能の低下や喘息疾患の症状悪化の可能性、夜中に何度も目が覚めることによる睡眠不足の可能性も示唆されています。それだけでなく、口呼吸は体内の炎症を悪化させると言われており、慢性炎症に関連した次のような病気を引き起こす可能性もあります。
- 心血管疾患
- がん
- 認知機能の低下
- 2型糖尿病
- 肥満
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マウステーピングとは
マウステーピングは、睡眠時の口呼吸治療に役立つと思われている民間療法です。SNSやインターネットでマウステーピングを口呼吸の解決策として疑わない人もいますが、科学的根拠はまだ確立されていません。就寝前に、通気可能な多孔質テープを上下の唇の上から貼り、簡単に口を開けることができない状況を作り、鼻呼吸を促します。
マウステーピングの利点
これまでで行われた研究では、閉塞性睡眠無呼吸症患者のいびきや倦怠感の軽減という利点のみが報告されていますが、マウステーピングを実践している人は、次のような症状を改善するのに役立つと主張しています。
- いびき
- 倦怠感
- 集中力散漫
- 口臭
- 夜間の過度なのどの渇き
- 虫歯
- 歯周病
- 睡眠障害や不眠
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)の症状
- 子供の成長の鈍化
- 認知能力の低下
マウステーピングがこれらの問題に効果があるかどうかの科学的根拠については、さらなる研究が必要です。
マウステーピングのリスクと副作用
前述にあるように鼻呼吸の利点は十分に確立されていますが、マウステーピングによる潜在的なリスクもあります。また、アレルギーや病気により重度の鼻づまりがある場合は、マウステーピングをしないでください。
マウステーピングに関しては、行われた研究が少なく非常に限定的なため、試した人たちの報告が基ですが、マウステーピングには次のような副作用があります。
- 唇や口の周りの皮膚のかぶれや炎症(特に敏感肌の人は注意)
- テープをはがす時の痛み
- テープの刺激または鼻呼吸が困難で眠れない
- テープで口を塞がれていることで感じる不安
- 不快感または呼吸困難感
- 粘着性の残留物が翌日も残る
これから研究が進めば、この他にも副作用がある可能性があります。
マウステーピングの方法
上記のリスクを理解した上で、それでも試してみたいという人は次のような方法がありますが、現時点でマウステーピングは一般的に受け入れられている方法ではなく、安全な方法を概説したガイドラインなどもないため、実践する前に医師に相談してアドバイスを受けてください。
寝る時にマウステーピングをする前に、一度日中に少し試してみて、息苦しくないか、皮膚は大丈夫か、眠れそうかなどを確認してください。また、これは日中の鼻呼吸の練習にも役立ちます。
- ワセリンなどの食品安全性のあるジェルやオイルを唇とその周辺に塗り、皮膚の炎症やテープの粘着物質の残留を防ぎます。
- テープ1枚を唇の上に水平に貼ります。その時、テープは口全体よりも少し大きいぐらいのサイズで、口全体を覆っていることを確認してください。両端を少し長めにして角を折っておけばはがしやすくなります。
テープの種類
マウステーピングは比較的最近の流行ですが、マウステープ自体は容易に入手可能です。いくつかのブランドが「スリープテープ」として販売していますし、従来のテープでも使用できるものがあります。その場合は、人の肌に使用することを目的とした多孔質テープを使用します。ダクトテープ、マスキングテープ、肌用でないテープは、刺激が強くアレルギー反応などを引き起こす可能性が高くなります。
低アレルギー性テープ、サージカルテープ、運動用テープは、多孔質で人の皮膚に使用できるように作られています。医療用粘着テープはアレルギーを起こす可能性は低いですが、それでも刺激によりかぶれなどを引き起こす人もいるので注意が必要です。
マウステーピング以外に鼻呼吸を促す方法
寝る時に口にテープを貼る事を考えると、最初は不安を感じるかもしれませんが、何回か試しているうちに慣れてくると考えられています。しかし、不安が取れない、反対に眠れなくなった、敏感肌でテープが貼れないなど、マウステーピングが合わない人は、鼻呼吸が出来ない理由に応じて次のような鼻呼吸を促す方法があります。
横向きで眠る
いびき解消が目的の場合、横向きで眠ることでいびきが改善する可能性があります。何十年にもわたる研究により、閉塞性睡眠時無呼吸の有無に関わらず、仰向けではなく横向きで睡眠を取った場合、いびきが減少することが分かっています。
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鼻用ストリップ
鼻用ストリップもいびき解消に効果があります。鼻用ストリップは、鼻腔を拡張し、鼻呼吸を促しますが、鼻用ストリップを使った研究では効果があるものとないもので結果が異なります。しかし、別の研究では鼻用ストリップを使用したことで日中の眠気と口渇が改善されたと報告されています。
口腔ケア改善
口臭解消を目的としてマウステーピングを考えている人は、口腔ケアを改善することで問題解決できるかもしれません。定期的な歯磨き、デンタルフロス、舌用クリーナー、うがい薬、マウスウォッシュなどの含む口腔ケアルーティンを徹底すれば口臭を防ぐことができます。
睡眠衛生とライフスタイルの改善
日中の倦怠感や眠気解消を目的としている人は、睡眠衛生やライフスタイルを改善することで良質な睡眠を確保できるようになる可能性があります。例えば、次のような方法があります。
- 毎日同じ時間に寝起きする
- 暗く静かな場所で眠る
- 寝る数時間前にはコンピューターやスマホなどの画面を見るのを止める
- 就寝前の数時間は、アルコールやカフェインを摂取しない
- 定期的に運動する
- 就寝前にマインドフルネス瞑想をする
- 就寝前にリラックスヨガやアロマ、CBDオイルなどを使う
- 禁煙する
- 一日のカフェイン摂取量を減らす
- 健康的な体重を保つ
呼吸法
マウステーピングは、就寝中、強制的に鼻呼吸するようにしますが、1日を通して呼吸法を練習することで鼻呼吸を促すことができます。お腹が膨らむように鼻から深く息を吸い、お腹を背骨の方に引っ張るような感じで鼻から息を吐き出します。鼻からの深呼吸は練習すればするほど、就寝中に自然と鼻呼吸する可能性が高くなります。
抗アレルギー薬や喘息の薬
欧米人の約25%は、花粉など呼吸で吸い込む物質に対してアレルギー反応を起こしており、このアレルギー反応は多くの場合、鼻づまりを伴い、鼻呼吸が困難になります。アレルギーによる鼻づまりで口呼吸している場合は、アレルギー治療または抗アレルギー剤を使用して鼻呼吸ができるようになるかどうかを確認してください。同様に、喘息を患っている人は医師に相談し、喘息のトリガーとなるものを避け、必要に応じて薬を使用することで症状を抑えられると、鼻呼吸ができるようになる可能性があります。
まとめ
SNSで一躍有名になったマウステーピングですが、残念ながらその効果を裏付ける研究結果や科学的根拠がなく、その効果も人によって大きな差がありそうです。また、症状が悪化したりする可能性もあります。リスクを理解した上で、それでもやってみたい!と思われる人は、実践する前に医師に相談してください。今まで気づかなかった疾患が見つかるかもしれません。
マウステーピングをする場合は、日中に少し試して危険性が無いかどうかを確認してください。アレルギー鼻炎やアレルギーの持病がある人はアトピー性皮膚炎など敏感肌の人が多いので、医療用の多孔性テープであってもかぶれたり炎症を起こす可能性があるため注意が必要です。顔にテープを貼る前に、腕の内側やお腹など柔らかい皮膚にテープを貼って安全を確認してください。また、普段から不安症などで悩んでいる人は、マウステープをすることで症状が悪化する可能性もあります。
科学的根拠が無い上にリスクがあるので、あまりお勧めできませんが、SNSで人気になるほど一定の人には効果があるようです。どうしても試したい人には多孔性テープがあれば簡単に出来るので試してみる価値はあるかもしれませんが、夜に実践する前に必ず安全性を確認してください。私が読んだ記事には1週間後ぐらいから効果が現れたというものが多くあったので、数日間続ければ効果が現れるかもしれません。
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参考元:healthline、Sleep Foundation
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