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Photo by Len Mora on Unsplash

大麻植物から抽出されるカンナビノイドには、私たちの健康に多くの有用な効果があると言われています。カンナビノイドと聞くと、テトラヒドロカンナビノール(THC)カンナビジオール(CBD)がまず思い浮かびますが、最近ではカンナビゲロール(CBG)、カンナビジバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)などのマイナーなカンナビノイドにも、CBDと同様に抗炎症などの作用があるだけでなく、抗菌、神経保護、食欲抑制、不安解消など幅広い効果が報告されています。これらのカンナビノイドについての研究も徐々に増えてきています。しかしながら、これらの研究はまだ初期段階であり、その作用機序、最適な投与量、副作用などについては解明されていない点が多くあります。今後もさらなる研究が必要とされています。そんな中、ポルトガルのポルト大学のJose Maia博士率いる研究チームによって、カンナビノイドと癌に関連する研究結果が発表され、カンナビノイドが癌に対して効果がある可能性が示唆されました。

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カンナビノイドとは

私たちの体内には、エンドカンナビノイドと呼ばれるシステムが広く存在しています。このシステムは、体内で生成される内因性カンナビノイド、カンナビノイド受容体、そして酵素によって構成されています。エンドカンナビノイドシステムは、私たちの生殖能力、妊娠、胎児の発達、免疫系の活性化、食欲、痛覚、気分、記憶などの生理的および認知的なプロセスを調節する役割を果たしていると考えられています。また、運動と運動協調、学習と記憶、情動と動機付け、疼痛調節、神経機能にも関連しているとされています。

体内で生成されるカンナビノイドは、内因性カンナビノイド(エンドカンナビノイド)と呼ばれ、大麻植物などから抽出されるカンナビノイドは植物性カンナビノイドとして知られています。エンドカンナビノイドの中で特によく知られているのは、アナンダミド(AEA)と2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)です。これらのエンドカンナビノイドは、痛覚、気分、食欲、免疫機能、生殖機能などの重要なプロセスを調節する役割を果たしています。

エンドカンナビノイドシステムが私たちの生理学的機能に深く関与していることから、カンナビノイドには、慢性疼痛、不安、神経変性疾患など、幅広い疾患への治療効果の可能性があるとされています。これは、カンナビノイド療法が将来的な医療の分野で重要な役割を果たす可能性を示唆しています。

合成カンナビノイドとは

合成カンナビノイドは、主にカンナビノイド受容体に対する植物由来のカンナビノイドの効果を模倣するように設計された化合物であり、天然のカンナビノイドよりも強力で長時間作用する特徴があります。現在、合成カンナビノイドは主にマリファナの合法的な代替品として販売されており、依存症、精神病、死亡などの重大な健康リスクと関連する可能性があります。一方で、鎮痛や鎮静、抗炎症効果など、強力な効能が示唆されています。

Photo by National Cancer Institute on Unsplash

血管新生とは

血管新生は、既存の血管から新しい血管を形成する過程であり、組織の成長、修復、維持に重要な役割を果たします。組織に損傷が生じると、その部分に新しい血管が成長し、治癒プロセスをサポートします。血管新生は、胎児の循環系の形成や臓器への血流確立に関与し、組織や器官の成長と発達にも必要です。たとえば、骨や体の成長に不可欠であり、女性の子宮内膜の成長と維持、受精卵の着床にも重要です。血管新生の問題は、癌、糖尿病性網膜症、妊娠高血圧腎症などの生殖器系疾患にも関連しています。最近のデータでは、カンナビノイドが血管新生に影響を及ぼす可能性が示唆されています。

血管新生と免疫系

免疫細胞は内皮細胞の増殖メカニズムに関与しており、血管新生増殖因子を産生し、細胞間相互作用を調節するサイトカインなどを分泌して血管新生プロセスをサポートするだけでなく、血管神経を刺激または阻害することができます。炎症が発生すると、免疫細胞が損傷または感染部位に集まり、新しい血管の形成を刺激します。免疫細胞と血管系との相互作用は、炎症性疾患や癌にも関連しています。

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血管新生と病態

過剰な血管新生は、しばしば癌の成長と進行を促進する要因となります。一部の血管新生因子は腫瘍や炎症細胞によって産生され、癌や慢性炎症性疾患など多くの病気の発症に関与しています。腫瘍細胞は、新しい血管の成長を刺激する血管新生因子を放出し、腫瘍細胞の成長と増殖に必要な酸素と栄養を供給します。また、血管新生は癌細胞が他の部位に転移する経路となるため、血管新生の抑制・阻害は癌治療にとって有望な戦略であり、新たに開発された抗血管新生薬は、腫瘍の血液供給をターゲットにして癌細胞の成長を遅らせるために使用されています。

慢性炎症は、免疫系が持続的に活性化されることにより、血管新生を促進することがあります。これは、元となる疾患の進行を促すだけでなく、組織の線維化などの二次的な合併症を引き起こすことがあります。たとえば、リウマチ性関節炎や加齢黄斑変性症などは新しい血管の成長が関連しています。

また、妊娠高血圧症(PE)は、免疫系の持続的な活性化による異常な血管新生により、胎盤の適切な血流と酸素供給が得られず、胎盤虚血が引き起こされ、母体に高血圧や蛋白尿、胎児には成長遅延が生じます。子宮内発育遅延(IUGR)は、胎盤における血管新生の障害と胎児への血流と酸素不足による状態です。PEやIUGRに加え、血管新生の障害は胎盤剥離、前置胎盤、胎盤機能不全などの胎盤疾患の原因ともなります。これらの症状は胎児の成長遅延、早産、その他の妊娠関連の合併症を引き起こす可能性があります。

Photo by Jeff W on Unsplash

カンナビノイドと血管新生機能

THCやCBDなどの植物由来のカンナビノイドを用いた研究では、一貫して血管新生因子を調節する能力が示されていますが、異なる投与量や研究モデルが使用されているため、実際の効果に関してはさまざまな結果が報告されています。内因性カンナビノイドの効果をより明確に把握するためには、血管新生における2-AGの役割を研究する必要があります。合成カンナビノイドは深刻な健康被害を引き起こす可能性がありますが、血管新生促進因子を調節する能力はさまざまな研究で実証されています。これまでの研究により、カンナビノイドがさまざまな血管新生メカニズムを介して効果を発揮することが確認されており、新しい抗血管新生薬としての可能性が示唆されています。

まとめ

ECSやカンナビノイドに関する研究は、この20~30年ほどで大きく進展し、判明した媒介物質や前駆体、酵素などの数も増加しました。このシステムが私たちの生理的機能に関与していることから、多くの病態の薬理学的標的としての可能性が研究されています。

血管新生(血管形成のプロセス)は、胎盤形成、子宮内膜のリモデリング、傷の治癒、成長などの生理的プロセスに関与しており、血管新生の障害は癌や妊娠高血圧症(PE)などのさまざまな病態とも関連しています。カンナビノイドの血管新生プロセスへの関与についての研究はまだ初期の段階にあります。現在のカンナビスの消費量とカンナビノイド系製品の増加を考慮すると、主要な植物性カンナビノイドが血管新生を妨げる能力を示す研究が存在するため、妊娠中や授乳中の女性は注意が必要です。さらに、内因性カンナビノイドによって引き起こされる血管新生プロセスの変化は、多くの血管新生に関連する病態を引き起こす可能性が示唆されており、ECSはその治療の標的となる可能性があります。すべてのタイプのカンナビノイドが血管新生を誘導または抑制する能力を示しているものの、合成カンナビノイドは一貫して血管新生プロセスを抑制するようです。これは、癌を含む血管新生に関連する病態の治療における潜在的な役割を示唆していますが、内因性カンナビノイドを含む研究の数が少ないことから、引き続き更なる研究が必要だと言えます。

抗炎症や鎮静・鎮痛作用、抗うつ作用などで知られるCBDなどのカンナビノイドですが、カンナビス・コミュニティーでは以前から癌治療の副作用対策だけでなく、癌そのものにも効果があると言われてきました。研究は進められていると言っても、世界ではTHCを含むマリファナが違法薬物とされていることなどから、その成分に対する研究への規制などでなかなか難しいのが現状です。しかし、今回の研究のように、カンナビノイドやECSと血管新生の関係をさらに明らかにすることで、癌などの血管新生障害が関連すると思われる深刻な病気の新たな治療法・治療薬が開発される可能性があります。世界保健機関(WHO)によると、CBDは重篤な副作用のない比較的安全な成分だと分かっています。そして、健康被害リスクのある合成カンナビノイドもその有効性が見られることから、更なる研究でCBD配合の新薬や安全な合成カンナビノイド製品が開発されるようになれば、癌で苦しむ人たちにとって治療の選択肢が増えることになり、大きな希望となるに違いありません。

出典:J. Maia, B.M. Fonseca, N. Teixeira, G. Correia-da-Silva, Unveiling the angiogenic effects of cannabinoids: Enhancers or inhibitors?, Biochemical Pharmacology, Volume 215, 2023, 115686,

ISSN 0006-2952, https://doi.org/10.1016/j.bcp.2023.115686.

(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006295223002770)

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