合法?それとも違法?大麻由来のTHCと同じ効果を持つヘンプ由来THCのアメリカ事情
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アメリカの2018年農業法によりヘンプが合法となった初期の頃はCBD製品が大きく注目されていましたが、去年の春ぐらいからΔ-8 THC(デルタ8 – テトラヒドロカンナビノール)が「合法THC」として人気を集めました。それに続き、HHC、Δ-10 THC、THCP、THC-Oなどがアメリカで続々と発売されました。日本ではHHCとTHCPが厚生労働省により危険ドラッグと指定され違法となりましたが、アメリカでは合法として今も販売されています。この農業法は2023年に見直される予定なので、その時にどう判断されるか注目されていますが、最新情報では、2023年の農業法見直しを待たずに、これらのグレーゾーンにあった製品も違法となるかもしれません。今日は、そんな合成THCである、Δ8、Δ10、THC-Oの3種類に焦点を当ててその違いや本当に合法なのかを考えてみたいと思います。

カンナビノイドとは

カンナビノイドはマリファナやヘンプなどの大麻植物に含まれる化学物質の総称です。麻に含まれている主なカンナビノイドはTHC(テトラヒドロカンナビノール)とCBD(カンナビジオール)です。大麻植物に含まれているカンナビノイドの種類は現在確認されているだけでも100を超え、中には最終的に200を超えると考える研究者もいます。各カンナビノイドの特性や人の体に与える影響などの研究はまだ初期段階で、カンナビノイド全ての種類の特性や副作用などが解明されるにはまだまだ時間がかかると考えられます。

CBDとして知られるカンナビジオールは、THCに次いで2番目に多く含まれており、大麻植物抽出液の最大40%を占めています。脳に影響を及ぼし高揚感や陶酔感などのいわゆる「ハイ」な状態にするTHCとは異なり、CBDにはそのような向精神作用がありません。CBDには、不安解消、痛み緩和、心臓と脳の健康改善など多くの利点があります。また、向精神作用がないため、CBD製品は日本を含む多くの国で認可および販売されています。日本では、THC成分が全く検知されないゼロTHC製品のみが審査・認可を受けて販売されています。

様々なCBDオイルの利点に関しては、こちらの記事をご参照ください。

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THCとは

THC(テトラヒドロカンナビノール)又はΔ9-THC(デルタ9-テトラヒドロカンナビノール)は、大麻植物に含まれる化学物質で、違法薬物であるマリファナ特有の向精神作用のほとんどに関係しています。私たちの体内にあるカンナビノイド受容体は、思考、記憶、喜び、協調、時間知覚に関連する脳の特定領域に集中して存在しています。THCはこれらの受容体に付着し、受容体を活性化し、人の記憶、喜び、身体の動き、思考、集中力、協調性、感覚、時間知覚に影響を与えます。多幸感、陶酔感、幻覚作用を引き起こす向精神成分で動悸、記憶障害、不安症などの副作用がありますが、特に中毒性と若いころからの長期使用による統合失調症などの精神疾患リスクが危惧されています。

ヘンプにもTHCは微量(0.3%以下)ながら含まれています。ヘンプに含まれるTHCはΔ8-またはΔ10-THCを示し、マリファナに含まれるTHCはΔ9-THCのことを意味します。

THCとCBDの違いなど詳細はこちらの記事をご覧ください。

Photo by Teanna Morgan from Pexels

Δ8-THCとは

2021年に火が付いたようにアメリカ全土で大人気になったカンナビノイドがΔ8-THCです。Δ8-THCは、マリファナから抽出される向精神物質のΔ9-THCと似た構造ですが、Δ8-THCはヘンプから抽出されるため2018年農業法に基づき連邦政府レベルで「合法」とされてきました。ヘンプに含まれている自然成分ですが、その含有量が非常に微量なため、市場で販売されているΔ8-THC製品は、完全な合成物質になります。また、Δ9-THCに似ていると言っても化学構造がわずかに異なるため、効力が大幅に低下します。

Δ8-THCの潜在的効果と危険性

Δ9-THCと同様に、陶酔感(いわゆる「ハイ」な状態)、リラックス感、鎮痛作用などをもたらしますが、その強度はΔ9-THCよりもかなり穏やかです。

また、その危険性もΔ9-THCと同様に、目の充血、口渇、動悸、協調運動障害、反応遅延、不安、記憶障害などの副作用をもたらす可能性があります。また、市場に出ている製品は合成のため、使用された化学薬品、製造過程を経て出来た合成副産物など関する安全性は不明です。

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Δ10-THCとは

Δ8-THCと同様にヘンプに含まれているカンナビノイドの一種ですが、含有量はΔ8-THCよりも少なく、成分研究所の検出方法を使ってもCBCやCBLと間違われてしまうことがあるほどです。自然成分のΔ10-THCを抽出して製品化しようとするとΔ8-THCと同様に、途轍もない量の原料ヘンプが必要になるため、市場に出ているΔ10-THCは完全な合成物質です。

Δ10-THCの潜在的効果と危険性

Δ9-THCやΔ8-THCと同じように内因性カンナビノイド受容体に作用し、効力はΔ8-THCより穏やかですが陶酔感(いわゆる「ハイ」な状態)をもたらします。Δ8-THCとは反対に、創造性、覚醒、エネルギー向上などの効果があると使用する人から報告されています。Δ8-THCは睡眠補助に有効で、Δ10-THCは日中の使用に最適だと言われています。

また、副作用もΔ8-THCやΔ9-THCと同様に、目の充血、口渇、動悸、協調運動障害、反応遅延、不安、記憶障害などが考えられます。そして、市販の製品は合成物質ですので、合成副産物や使用された化学薬品などの安全性は保証されていません。

THC-Oとは

THC-O(テトラヒドロカンナビノール・アセテート)もヘンプ由来とされていますが、Δ8-THCやΔ10-THCと異なるところは、ヘンプに自然と含まれている成分ではないということです。THC-Oは完全な人工物質です。マリファナ由来のΔ9-THCやヘンプ由来のΔ8-THCよりも強力になるように特別に合成された物質で、Δ9-THCの少なくとも2倍の効力があると考えられています。THCベースの成分ですので、摂取すればもちろん陶酔感があり、「ハイ」な状態になる向精神薬です。強力すぎて、初心者には危険な製品だと言われています。

THC-Oの潜在的効果と危険性

他のカンナビノイドと異なる点は、THC-Oがプロドラッグだということです。プロドラッグとは、投与後生体による代謝作用を受けて活性代謝物へと変化し薬効を示す薬です。つまり、肝臓で代謝されなければ活性しないため、通常なら即効性のあるベイプペンなどで吸引したとしても効果が現れるまでに最低15~20分はかかると報告されています。しかし、一度効果を感じ始めるとΔ9-THCの最大300倍もの効力があり、幻覚や強烈な陶酔感に襲われると言います。

THC-Oには次のようなリスクがあります。

  • 他のヘンプTHCベースのカンナビノイド製品と同様に、2021年に製品化され始めたばかりの物質でその安全性や健康被害リスクなどを調べる研究やデータが皆無。
  • 普通の大麻製品よりもバイオアベイラビリティが高いため、カンナビノイド受容体との結合がより迅速に行われ、知らないうちに濫用する可能性が高い。
  • 多くの業者がTHC-O製品を、「人工」であるにもかかわらず「100%天然」と宣伝しており、化学物質を使って生成されるため、健康被害リスクが高く危険。

Photo by Avery Meeker on Unsplash

アメリカにおける合法性

最初これらのヘンプ由来THC製品が市場に現れた時は、「合法THC」としてあっという間にアメリカ全土に広がりました。しかし、「天然成分」と謳っていても実際には合成して製造していることや、FDA(アメリカ食品医薬品局)に報告される副作用のケースが増えていること、ベイプペン同様に製品のマーケティングが若者や子供の興味を引くようなものになっていること、製造方法が規制されていないため身体に害のある化学薬品や添加物が含まれている可能性があることなどを理由にFDAが警鐘を鳴らしています。現在(2022年3月)、連邦政府レベルでは合法ですが、ここ数ヶ月ほどでこれらのヘンプ由来THC製品を禁止する州が急激に増え、合法だと認可している州は38から19に減りました。その中でもさらに4つの州が禁止を検討しています。このことからも、2023年の農業法見直しを待たずにほとんどの州で禁止になることは避けられないでしょう。また、農業法見直し時に連邦政府レベルでも違法と見なされる可能性が高いと思われます。

まとめ

Δ8-THC、Δ-THC、THC-Oなどは、完全な合成THCで健康被害リスクも高いため、既に多くの州で禁止されており、2023年の農業法見直しで違法と見なされる可能性が高いことが分かりました。2018年にアメリカでヘンプが合法となってから、様々な研究が行われていますが、それらはまだまだ初期段階で人間を対象とした研究もほとんど行われていないのが現状です。また、ヘンプやマリファナなどの大麻植物に含まれているカンナビノイドの種類が多く、各カンナビノイドの効能などの解明にも時間がかかります。新たなカンナビノイドが発見される度に業界は色めき立ち、何とか禁止されているマリファナの成分に似た製品を合法で作れないかと試行錯誤している印象を受けます。「ハイ」になる向精神薬よりも、大麻植物成分の薬効に関してもっと研究を進め、薬としての使用や薬を開発してより多くの人が様々な苦しみから解放される方がよほど建設的ではないでしょうか。

日本では抽出される部位だけでなく成分も重視されますから、ヘンプ由来だと言ってもTHCが検出されれば完全に違法です。また合成薬物もアウトです。アメリカで合法だからと言って入手した人は注意しましょう。また、合成物質なので危険な化学薬品が生成に使われていたり、危険な成分が含まれていたりなど、健康被害への大きなリスクもあります。特に若いころからのTHCの長期使用は統合失調症などの精神疾患リスクが危惧されています。

参考元:ACS LaboratoryCBD OraclehealthlineHealthingLeaflyU.S. Food and Drug AdministrationWebMD

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