朝はアレを飲まないと始まらない…カフェインには中毒性があるって本当?
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Photo by Nathan Dumlao on Unsplash

目が覚めると朝のコーヒーを飲まないと頭が回らない。寝坊して朝食を食べる時間がなくても自販機で缶コーヒーだけは必ず買って飲む。私たち成人のほとんどが朝に必ずコーヒーやその他のカフェイン飲料を飲んでいるのではないでしょうか。コーヒーだけでなく、紅茶、緑茶、エナジードリンク、コーラなどカフェインを含む飲み物は私たちの周りにあふれています。

カフェインは世界で最も一般的に使われている薬物だと認識されています。では、本当に麻薬などと同様の中毒性があるのでしょうか。今日は私たちの最も身近にあるカフェインについて調べてみたいと思います。

カフェインとは

コーヒー、お茶、紅茶、チョコレート、炭酸飲料などに含まれる興奮剤で、倦怠感を軽減し、頭をスッキリさせ、エネルギーを高めます。その一方で注意しないと、不眠症、頭痛、脱水症状、血圧の上昇などを引き起こす可能性があります。多くの人にとってカフェインは、目を覚まし、エネルギーや集中力向上のためのツールとして使われています。

カフェインは、白く苦みのある物質で、コーヒー豆、茶葉、カカオ豆など60を超える植物に含まれています。米国食品医薬品局(FDA)は、カフェインを食品添加物および薬物だと見なしており、現在最も一般的に消費されている中毒性のある向精神薬とされています。米国では、成人の90%以上がカフェインを定期的に摂取しており、1日あたり平均200ミリグラムのカフェインを消費しています。これは、コーヒー約2杯分またはソフトドリンク5本分に相当します。

食べ物や飲み物に含まれているカフェイン量は様々で、コーヒーや紅茶の場合、そのブランド、豆や葉の種類、作り方、蒸らし時間などによって異なります。例えば、カフェイン抜きのコーヒーには1杯約2ミリグラムのカフェインしか含まれていませんが、カフェイン入りのコーヒーだと1杯あたり約30~300ミリグラム以上のカフェインが含まれています。一般的な紅茶には約40ミリグラムのカフェインが含まれていますが、種類によっては9~110ミリグラムぐらいまでの幅があります。ソフトドリンクや炭酸飲料には、通常30~60ミリグラムのカフェインが含まれており、エナジードリンクは50~160ミリグラムほど含まれています。

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カフェインの利点

他の多くの中毒性物質とは異なり、現在までの研究でコーヒーやカフェインには次のような利点があることが分かっています。

  • 脳機能改善:定期的にコーヒーを飲むと、頭がスッキリして、短期記憶や反応時間が改善されるかもしれません。また、アルツハイマー病やパーキンソン病のリスクを軽減する可能性もあります。
  • 気分改善:コーヒーやカフェインを消費する人は、うつ病などのリスクが低いことが示唆されています。
  • 新陳代謝向上:毎日カフェインを摂取すると、新陳代謝を最大11%、脂肪燃焼率を最大13%増加する可能性があります。
  • 運動パフォーマンスの上昇:カフェインは疲労に対する耐性を高めるため、運動パフォーマンスを改善し、トレーニングがいつもより楽に感じる可能性があります。
  • 心臓病や糖尿病のリスク軽減:コーヒーやお茶などのカフェイン飲料を定期的に飲むと、特定の心臓病や2型糖尿病リスクを軽減する可能性があります。

カフェインの身体への影響

カフェインは胃や腸などの消化器系から吸収され、血流に入ると中枢神経系(神経、脳、脊髄)を刺激し、頭をスッキリさせ、注意力を高め、新陳代謝を改善し、運動パフォーマンスを促進し、気分を高揚させます。また、疲労感を軽減し、集中力を向上します。しかし、胃酸が分泌されるため、カフェインを摂取した後に胸焼けや消化不良などを起こす可能性があります。

カフェインを飲んだり食べたりすると、やる気、感情、動きをコントロールするのに役立つ化学物質であるドーパミンの脳内信号伝達が強化され、それにより覚醒し、より注意深くなります。カフェインを摂取してから約15分ほどでその効果を感じ始め、約30~60分で血中のカフェインが最大濃度に達し、人によって異なりますが、約3~9時間ほど続きます。カフェインを完全に血中から排除するには10時間ほどかかります。

カフェインの脳への影響

胃腸から吸収されたカフェインは素早く脳まで移動し、脳細胞に直接刺激を与えます。これはカフェインの化学構造が中枢神経系にリラックス効果をもたらすアデノシンという分子の化学構造に似ているためです。これによりカフェインが脳内アデノシン受容体に適合し、アデノシンと受容体の結合を防ぎ、アデノシンが倦怠感を引き起こすのを防ぎます。

その後、ブロックされたアデノシン受容体はその他の刺激物の分泌を促し、ドーパミンなどの刺激物がより効果的に機能できるようにします。これにより、覚醒がさらに高まり、疲労感が軽減されます。

簡単に言えば、カフェインは次のように機能します。

  • あなたが疲れているという信号を脳が出すのを防ぎます。
  • 他の刺激物の分泌を促し、それらの効果を高めます。

これらの結果、私たちの脳は覚醒、幸福、集中力、自信、社交性、仕事へのやる気などを感じます。

Photo by Maria Tyutina from Pexels

カフェインの中毒性

多くの人がカフェインに対する耐性を得ます。カフェインによってブロックされたアデノシンを補おうとして、脳がより多くのアデノシン受容体を生成し始める可能性があります。同様に受容体の数が多くなればその分同等のカフェイン効果を得ようとして私たちのカフェイン摂取量が増えます。これは、毎日カフェインを摂取することに身体が慣れて適応するすることを意味し、摂取する期間が長くなると、それにつれて覚醒と集中力の効果が薄れるため、同等の効果を得るためにはカフェインの摂取量を増やさないといけなくなります。

その一方で、カフェインの供給を突然遮断すると、アデノシンと結合できるフリーの受容体が数多く脳内に残ってしまいます。これにより強い倦怠感を引き起こし、急にカフェイン断ちをした時に起こる離脱症状の原因だと考えられています。

身体がカフェインに依存している可能性はありますが、厳密には「中毒」とは言えません。カフェインがドーパミンを向上させると言ってもその数値は小さいです。反対に、メタンフェタミンやMDMA(エクスタシー)のような違法な覚醒剤や麻薬は、脳内の報酬系回路を混乱させるほどの急激な上昇を引き起こします。人は麻薬や覚醒剤には「中毒」になりますが、カフェインには「依存」します。

このカフェイン「依存症」が「中毒」と認識されるべきかどうかはいまだに専門家の間で意見が分かれています。米国精神医学会(APA)は、カフェイン依存症を物質使用障害(SUD)として特定していません。ただし、カフェイン離脱症状は臨床症状として認識しています。世界保健機関(WHO)は、2012年にカフェイン依存症を臨床障害として正式に認めた世界初の医療機関になります。

カフェインの摂取過多

専門家の多くは、一日の最大摂取量は400ミリグラム(約カップ3~4杯分)までにするべきだと言います。カフェインを摂取し過ぎると次のような症状が出る可能性があります。

  • 頭痛、緊張、めまい
  • 神経過敏、手足の震え
  • 不眠症または睡眠中に何度も目が覚める
  • 動悸、不整脈
  • 血圧の上昇
  • 脱水症状
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カフェイン依存症(中毒)の兆候

次のような兆候がある人は、カフェインに依存または中毒になっている可能性があります。

  • カフェインを減らしたり止めたりする努力をしてもカフェインが欲しくなって失敗する
  • カフェインによって身体的・心理的問題が引き起こされる、悪化すると分かっているにも関わらず継続してカフェインを消費する
  • カフェインを止めると離脱症の症状があらわれる
  • 離脱症の症状を緩和するためにカフェインを摂取する
  • 意図していたよりも大量、または長期間にわたってカフェインを摂取する
  • 職場、学校または家での役割や義務を果たせないほど繰り返しカフェインを摂取する
  • カフェインの摂取により社会的や対人関係に問題が起きると分かっているにも関わらずカフェインを消費する
  • 望ましい効果を達成するためにカフェイン量を著しく増やさないといけない
  • 同量のカフェイン摂取で得られる効果が著しく低下
  • 多くの時間や労力が必要だとしてもカフェインを入手する
  • カフェインを摂取したいという強い欲求や衝動を感じる

Photo by Nik Shuliahin on Unsplash

カフェイン離脱症状

カフェイン離脱症状は、カフェイン摂取を突然やめた後に現れる医学的に認識された症状を意味します。これらの症状は、カフェインを止めてから1日以内に現れ、1週間以上続く場合があります。次のような症状がカフェイン離脱症に含まれます。

  • 頭痛
  • 過敏症
  • 倦怠感
  • 不安
  • 集中力の低下
  • うつ病
  • 震え
  • エネルギー不足
  • 吐き気
  • 筋肉痛
  • イライラ

カフェイン摂取を控えた方が良い人

誰もが安全にカフェインを消費出来る訳ではありません。人によって異なりますので、心配な人は医師に相談してください。また、次のような場合はカフェインの摂取を控えましょう。

  • 不眠症などの睡眠障害がある
  • 潰瘍または胃食道逆流症を患っている
  • 妊娠中
  • 授乳中
  • 片頭痛または慢性的な頭痛がある
  • 高血圧
  • 特定の興奮剤、抗生物質、喘息や心臓病の薬を服用している(カフェインと相互作用する可能性があります)。
  • 子供または10代の若者
  • 不安症
  • 不整脈や動悸

カフェイン摂取量を減らす方法

カフェイン消費量を減らしたり止めたりする場合、急にカフェイン断ちをすると、離脱症状が現れ、カフェインを摂取しなければならなくなるかもしれません。安全にカフェインの量を減らすには、コーヒーやお茶、エナジードリンクなどカフェインの元となる飲み物や食べ物の量を毎日徐々に減らします。最初は、ソフトドリンクやエナジードリンクの代わりに水を飲んだり、少しずつコーヒーをカフェイン抜きコーヒーに変えてみましょう。2~3週間またはそれ以上の時間をかけて摂取量を減らすまたは完全に止めるようにします。

まとめ

コーヒーやチョコレートなど私たちが普段好んで飲んだり食べたりする食品に入っているカフェインは、頭をスッキリさせたりエネルギーや集中力を向上させるという効果だけでなく、依存性(中毒性)もあるということが分かりました。朝にコーヒーや紅茶、エナジードリンクやカフェイン飲料などを飲まないと全然頭が機能しないという人も多いのではないでしょうか。厳密には「中毒」とは言わなくても依存性があるのは確かで、急に摂取を止めると臨床症状と認められている離脱症状が現れます。例えば、私は午前中にカフェインを摂取しなければ大抵午後になると頭痛がするのですが、これも離脱症状の1つのようです。

世界中で一般的に愛され、消費されているカフェインですが、身体に悪影響を与える場合もあるので摂取過多に注意が必要です。特に妊娠中の女性は、大量にカフェインを摂取すると流産や赤ちゃんの低出生体重リスクが高くなる可能性があります。妊娠後離脱症状が出ないように、妊活中の女性はカフェイン摂取量を控えるようにすると良いでしょう。

英語では「in moderation(ほどほどに)」という言葉がありますが、カフェイン摂取もほどほどが良いようです。摂取過多にならない程度にお好きなカフェイン飲料を楽しんでください。

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参考元:Addiction CenterCleveland Clinichealthline

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