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痛み、疲れ、睡眠不足、心配やうつなどは、短い時間であっても仕事や作業がはかどらない、外出したり友人と会うことができないなどということがあります。これらの症状が慢性化した際の私たちの生活の質の低下は計り知れません。先日、オーストラリアのシドニー大学がんケア研究所のチームが医療大麻を使用している慢性疾患を持つ患者の生活の質を調査した研究結果を発表しました。
オーストラリア人の47%以上が慢性疾患に悩み、その中でもほぼ20%が持続的な慢性疼痛を経験しています。このような慢性的な健康問題は、生活の質に重大な影響を及ぼします。2016年のオーストラリア法律改正により、従来の治療で効果のない慢性疾患患者は医師から医療大麻の処方箋をもらうことができるようになりました。この研究では、処方された医療大麻を使用している多くの患者を対象に3か月間、健康に関連した全体的な生活の質、痛み、疲労、睡眠、不安、うつ病などのカテゴリーを評価しました。
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医療大麻と副作用
この研究では、処方された毎月の医療大麻のうち約80%がカンナビジオール(CBD)であり、一方でテトラヒドロカンナビノール(THC)が12.5%、THCとCBDの混合が7.5%を占めていました。最も一般的に処方されている製品はオイルで、全体の90%以上を占め、その他には乾燥大麻とオイルの組み合わせがあります。全体的に、医療大麻治療は安全で忍容性が高く、重篤な有害事象はほとんど報告されませんでした。ただし、今回調査したデータにおいて、2000件以上の軽度の副作用(眠気、口渇、倦怠感、めまい)が報告されており、まれに頭痛、不安、鮮明な夢も報告されました。幻覚を見たケースも1件ありました。重要なのは、さまざまな製品タイプやカンナビノイドの組み合わせと副作用のリスクとの間に関連性が確認されなかったことです。
調査結果
医療大麻を使用している患者のうち、2327人が調査に協力しました。参加者の年齢は18歳から98歳までで、平均年齢は51歳です。参加者のうち、62.8%が女性で、37.6%が大学教育を受けています。また、25.4%が慢性的な病気のせいで、失業中、休養中、または限定的に勤務していました。参加者の半数以上が複数の症状を抱えており、その多くが慢性疼痛(68.2%)の治療のために大麻が処方されていました。その他の症状には不眠症(22.9%)、不安症(21.5%)、および不安とうつ病(11%)が含まれています。
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健康に関する全体的な生活の質
今回の研究では、時間の経過とともにEQ-5D-5Lインデックススコア(移動の程度、身の回りの管理、普段の生活、痛みや不快感、不安やふさぎ込みに基づく評価指標)とQLQ-C30要約スコア(がん患者の生活の質の評価指標)の両方に大幅な改善が見られました。これは、健康関連の生活の質が初期段階で急速に向上し、それが3か月にわたって持続したことを示唆しています。EQ-5D-5Lスコアは平均で0.152ポイント、QLQ-C30スコアは平均で10.7ポイント増加し、臨床的にみて生活の質が大幅に改善されたことを示しています。
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痛み
痛みのスコアは、時間の経過とともに大幅に改善しました。興味深いことに、慢性疼痛と診断された患者と痛みに対する治療を受けていない患者とを比較すると、慢性疼痛と診断されたグループの方がさらに大きな痛みの軽減が見られました。具体的には、慢性疼痛と診断された1592人の参加者のうち、疼痛の平均スコアが16.51ポイント減少しました。疼痛スコアのガイドラインによると、14ポイント以上の減少は大幅な改善とみなされます。
睡眠
この研究では、驚くべきことに、時間の経過に伴う平均睡眠スコアの変化がほとんど見られませんでした。2299人の睡眠の質には0.11ポイントという非常にわずかな改善しか示さず、不眠症と診断された534人の参加者に焦点を当てた分析でも、睡眠スコアに大きな変化は確認できませんでした。
疲労
参加者は、時間の経過とともに疲労が顕著に改善しました。平均的に、参加者は疲労の軽減を経験し、研究開始時点から研究終了後のフォローアップまでに疲労スコアが大幅に改善しました。また、研究が進むにつれて、参加者は疲労が著しく改善していると感じました。
不安
不安レベルを調査した結果、時間の経過とともに不安が大幅に改善されたことがわかりました。平均的に、全ての参加者の不安スコアが顕著に軽減し、症状の重症度が中程度から軽度へと変化しました。不安症状があると診断された人と不安の治療を受けていない人を比較すると、不安症状のある人の方が大幅な改善を報告しました。
うつ病
うつ病の診断を受けた人とうつ病の治療を受けていない人を比較すると、うつ病症状のある人の症状が大幅に改善し、平均的に時間の経過とともにうつ病が大幅に改善したことが確認されました。特に、混合型うつ病、不安障害、反復性うつ病障害、双極性障害などに関連した症状を抱える288人の間で、重度のうつ病から中程度へと大きな改善が見られました。
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臨床的意義
この研究は、医療現場で医療大麻を処方することが、慢性的な健康問題を抱える患者の痛み、疲労、不安、うつ病の症状を緩和し、最終的には全体的な生活の質を改善するのに役立つ可能性があることを示唆しています。しかし、医療大麻が患者の不眠症状を改善するという明確な証拠は見つかりませんでした。医療大麻が睡眠に及ぼす影響を完全に理解し、最適な配合、用量、使用方法を特定するにはさらなる研究が必要です。
まとめ
3か月という短期間の研究ですが、実際に医療大麻(主にCBD)が健康に関する生活の質を改善し、疲労を軽減したことが明らかになりました。不安、うつ病、慢性的な痛みを持つ患者も、3か月間で症状が改善しましたが、興味深いことに睡眠障害に関しては変化が確認できませんでした。現在、オーストラリアでは医療大麻が認められており、従来の治療で効果が見られない慢性疾患を持つ患者は医療従事者の判断で医療大麻の処方が許可されています。今回、2000人以上の患者を対象に調査が行われましたが、今回の結果はさまざまな条件に関する他の研究結果と一致しており、医療大麻の潜在的な有効性を明確に示しています。さらに、非処方箋CBD製品を使用したてんかん患者を対象とした別の研究でも、生活の質、不安、うつ病、睡眠の改善が確認されました。ただし、緩和ケアを受けている進行がん患者を対象とした他の研究では、CBDオイルによる痛み、うつ病、不安、生活の質に有意な改善が見られなかったという結果が出ているため、医療大麻がすべての人に利益をもたらすわけではないと考えられます。さまざまな疾患とCBDやTHCなどの異なるカンナビノイドとの関係を明確にする研究が進めば、疾患や症状に合わせたカンナビノイドを処方できるようになるかもしれません。
今回の研究だけでなく、複数の研究で同様の結果が出ていることから、不安、うつ病、慢性的な痛み、およびその他の慢性疾患で生活の質が低下していると感じている方は、CBDオイルを試してみる価値があるかもしれません。
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