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CBDとして知られるカンナビジオールは大麻草の一種であるヘンプから抽出される化学物質ですが、世界で麻薬として禁止されているテトラヒドロカンナビノール(THC)と異なり向精神作用がなく、さまざまな効能があるため世界市場で大きく飛躍し続けている製品です。現在でも多くの研究が行われていますが、その中でも、南イリノイ大学医学部の研究員でもあるRobert Kaufmann医師が率いるチームが行った研究結果を「Observed Impact of Long-Term Consumption of Oral Cannabidiol on Liver Function in Healthy Adults(健康な成人の肝機能に対するカンナビジオールの観察された長期経口摂取の影響)」というタイトルでCannabis and Cannabinoid Research誌に2023年2月に発表しました。今日は、その研究内容をご紹介したいと思います。
最近では、さまざまな効果を持つCBDを、その時の症状に応じて使用することが一般的になってきています。そのため、CBDを試したことのある人の数も近年急増しています。高用量のCBDは、てんかんを持つ子供や一部の成人、他の薬との相互作用がある場合に、肝臓の数値を上昇させることがわかっています。しかし、健康な成人を対象にした高用量のCBDの研究では、さまざまな結果が報告されています。一般的な成人においては、肝臓の数値が10%〜20%上昇すると推定されていますが、この研究では、自己治療としてCBDを使用する成人の肝臓の数値上昇とその有病率に焦点を当てました。
CBDにはストレス緩和、不安の軽減、不眠の改善、抗酸化・抗炎症作用、アンチエイジングまで様々な効果が期待されています。EU初のCBD上場企業「ヘンプリーバランス(Hemply Balance)」が開発した、スイス産オーガニックヘンプ抽出の高品質CBD製品はこちらから購入できます。
カンナビジオール(CBD)とは
カンナビジオール(CBD)は、現在北米で広く人気のある化合物(カンナビノイド)で、大麻植物に由来しています。カンナビジオールは、判明している120種類以上のカンナビノイドの中で、テトラヒドロカンナビノール(THC)に次いで2番目に多く含まれており、大麻植物抽出液の最大40%を占めています。THCは脳に影響を与え、高揚感や陶酔感などの「ハイ」な状態を引き起こしますが、CBDにはそのような向精神作用はありません。CBDには、不安解消、痛み緩和、心臓と脳の健康改善など多くの利点があります。
さまざまなCBDオイルの利点については、こちらの記事をご参照ください。
CBDの合法性
CBDは、脳に影響を与える高揚感や陶酔感などの「ハイ」な状態を引き起こす向精神作用がないため、THCのような日本で禁止されている薬物ではありません。欧米では、0.2~0.3%のTHC含有量までは産業用のヘンプと見なされ、アメリカでは2018年に産業用ヘンプの合法化が認められました。また、医師によるCBD処方薬としては、てんかんに効果のあるEpidiolexが食品医薬品局(FDA)により認可されています。さらに、合成CBDとTHCの処方薬であるnabiloneやdronabinolもFDAにより認証されており、合成CBDとTHCの混合薬であるSativexは、アメリカでは現在治験中ですが、カナダやヨーロッパでは認可されています。日本では、厚生労働省の審査・認可を受けたゼロTHC製品のみが検知不可能であり、輸入が許可されています。
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研究の材料と方法
CBDの肝機能への影響を調査するために、アメリカ全土43州からアメリカCBDメーカー(12社)の製品を最低30日間以上(50%に近い人が12ヵ月以上服用)経口摂取している18歳から75歳までの成人839人(女性65.3%、男性34.7%、平均年齢45.5歳)を対象にしました。肝臓疾患、肝機能障害、CBDに対するアレルギー反応、特定の薬の服用者は調査対象から除外されています。参加者は自分が選んだメーカーから定期的にCBDを受け取り、使用理由や摂取量、現在服用している薬などの情報をアプリに入力し、毎日の使用量、副作用、および効果を記録しました。55.7%の人がフルスペクトラムのCBD、40.5%の人がCBDアイソレート、3.8%の人がブロードスペクトラムのCBDを摂取しました。30日後には参加者に血液検査を行い、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)、総ビリルビン(TB)などの様々な肝酵素のレベルを調べました。一部の参加者ではこれらの酵素のレベルが上昇していることが分かりましたが、酵素レベルの上昇と疾患発症率を比較した結果、一般の成人集団と特に異なる傾向は見られませんでした。また、ボディマス指数(BMI)、年齢、性別、CBD摂取量、CBD製品の種類など、多くの要因を分析しましたが、ALT値の上昇を予測できるのはBMIと年齢のみであり、CBD摂取量とALT値の間には有意な相関関係は見られませんでした。追跡検査では、肝酵素値が上昇した参加者の多くが調査後4週間以内に正常値に戻り、肝酵素値が上昇したケースの中にはCBDとは関係のない理由、例えばアルコール摂取や他の薬の使用が原因で上昇したものもありました。
本研究の参加者の中で副作用を報告したのは2.2%で、そのほとんどがCBDの摂取とは関係がなく、2ケースのみが便秘などのCBDの副作用と確認されました。全体的に見て、CBDの摂取はほとんどの人の肝機能に大きな影響を与えない可能性が示唆されていますが、CBDが肝機能にどのような影響を与えるのかを完全に理解し証明するためには、さらなる研究が必要です。
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議論
米国では、臨床試験の実施に法的な制限があるため、この研究ではCBDを自己投与している個人の観察分析を行いました。その結果、CBD使用者は肝臓酵素値が上昇しやすく、有病率が高いことがわかりましたが、CBD使用者は主に医学的な理由でCBDを使用しているため、健康な人と直接比較することは適切ではありません。また、参加者の中には酵素値を上昇させる薬を服用している人もいました。そのため、一般の人々と比較した場合、CBD摂取による肝臓酵素値上昇の有病率はほぼ同じでした。
本研究期間中、酵素値が上昇した参加者の数値は危険なレベルを下回りました。数値が上昇した人の多くは一時的な上昇であり、CBDの使用を続けても自然に正常値に戻りました。正常値に戻らなかった人は、CBD以外の要因が関与しており、CBDの投与量や使用期間と肝臓酵素値との間には相関関係が見られませんでした。一方で、CBDの投与により特定の人には肝疾患の予防効果がある可能性が示唆されました。
また、この研究の結果、CBD使用に関連する副作用の発生率は低いことが示され、ほとんどの人が副作用なしでCBDを使用できることがわかりました。
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まとめ
2023年に発表されたCBDの経口摂取と肝機能に関する研究結果では、自己治療の目的でCBDを使用している人々には、この研究で摂取した量で肝酵素値の上昇による有病率に大きな変化はなかったと結論づけられました。むしろ、酵素値の上昇は、基礎疾患やそれによって服用した薬に起因する可能性があり、CBDの使用によって臨床的な肝疾患が引き起こされないことを示唆しています。
完全にCBDが安全であることを証明するためには、さらなる証拠が必要ですが、この研究結果からは、CBDの経口摂取が一般の人々にとって安全で、ほとんど副作用がなく、肝機能に悪影響を及ぼさずに使用できることがわかりました。ただし、CBDは他の薬と相互作用する可能性がありますので、常用薬や頻繁に使用する薬を服用している方は、CBDを使用する前に専門家に相談してください。
出典:Observed Impact of Long-Term Consumption of Oral Cannabidiol on Liver Function in Healthy Adults
Robert Kaufmann, Keith Aqua, Jeff Lombardo, and Martin Lee
Cannabis and Cannabinoid Research 2023 8:1, 148-154
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