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2023年4月27日、新聞など報道機関のビジネス面でカンナビスの文字が一斉に並びました。一体何事がと思い目を通したところ、米国民主党と共和党の両方の下院議員と上院議員によってSecure and Fair Enforcement (SAFE)銀行法が再提出され、これを受けて米国連邦レベルでの大麻解禁が予想よりも早く実現するのではないかという話とカンナビスが合法化されている州で営業している大麻企業が銀行からのサポートを受けれるようになるのではという期待で、米国大麻企業の株価が一斉に値上がりしたというニュースでした。政府、ビジネス面での大麻関連の状況を調べてみました。
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米国内での大麻事情
カナダでは2018年から大麻が全面解禁になりましたが、同じ2018年米国では2018 farm bill (農業改良法)が可決、施行されTHC含有量が0.3%以下の産業ヘンプから作られたCBDや他のカンナビノイド製品は、Controlled Substances Act (規制物質法)のスケジュールから省かれることになり、多くの州で産業ヘンプを元としたカンナビノイド製品が合法に製造・販売されるようになりました。
連邦レベルで大麻は依然として違法ですが、2023年4月現在、下記の州で大麻が完全合法化されています。
アラスカ、アリゾナ、カリフォルニア、コロラド、コネチカット、デラウェア、コロンビア、イリノイ、メイン、マサチューセッツ、ミシガン、ミズーリ、モンタナ、ネブラスカ、ネバダ、ニュージャージー、ニューメキシコ、ニューヨーク、オレゴン、ロードアイランド、バーモント、バージニア、ワシントン。
下記の州では大麻は全面的に違法とされ規制されています。
アイダホ、カンサス、サウスカロライナ、ノースカロライナ、ワイオミング
上記以外の州では、薬用大麻のみが許可されていたり、0.5%以下のTHCを含んだCBDだけが許可されていたり、州によって異なる規制が課せられています。
注:州法は随時改変されますので、大麻に関する規制、州別の法律に関しては米国政府および州の公式サイトなどでご確認ください。
米国大麻企業の現状
上記で述べた通り、州レベルで合法化されていても連邦政府レベルで大麻は依然として違法とみなされています。このことから、例え合法化されている州でカンナビスの生産、販売を始めても、いつ連邦政府が介入してくるか分からないためにリスクが高く、各銀行はカナビス企業への融資やクレジットカード決済などの銀行が通常行うサービスの提供を断る傾向にあります。そのため、合法で営業している企業であってもカンナビス関連というだけで現金取引をせざるを得ない状況が続いています。このため、カンナビスを販売する小売業者は強盗などの犯罪のターゲットになりやすく、その周辺地域の安全が脅かされています。
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Secure and Fair Enforcement Banking Act (SAFE Banking Act)とは
今回話題になっているSecure and Fair Enforcement Banking Act (SAFE Banking Act)は、党派を超えた上院議員と下院議員が合同で議会に提出した法案で、「安全で公正な執行の銀行法」という名がつけられている通り、合法的な大麻企業が銀行の重要かつ金融サービスにアクセスできるようにする法案です。ほとんどの州では、合法的に営業している大麻企業であっても、日常の銀行業務のサービス、金融サービスへのアクセスが拒否されており、これは連邦政府が大麻を違法とみなしているため、政府の介入があれば連邦法の下で起訴される可能性を恐れてサービスの提供がなされていないのが現状です。銀行の提供するサービスにアクセスできないため、合法な大麻企業は現金取引を余儀なくされ、これは企業が脱税しやすくするだけでなく、犯罪組織への扉を開き、小売業に至っては強盗などの犯罪のターゲットになり、近隣社会の安全を脅かすことになりかねません。しかし、この法律が可決されると、大麻企業との取引で銀行が起訴されたり処罰を受ける可能性がなくなるため、合法的な大麻企業、小売業者が普通の企業や小売業者と同じように銀行のサービスにアクセスし、営業することが可能になります。そうすることで、地域社会の安全を保つことができます。また、この法案では、合法な大麻企業に対してサービスを提供した家主や不動産業者、弁護士などを処罰の対象から除外し守ります。この法案は現在までに7回、下院で可決されましたが、上院の承認を得ることができませんでした。しかし、今回党派を超えて下院議員と上院議員が一緒になって法案を提出したことで、上院銀行委員会を通過し、初めて上院の投票へと進むことができました。
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大麻企業の株式
この1年間、米国大麻企業株は大幅な赤字に陥りました。その主な原因は、猛烈なインフレとそれに続くベンチマーク金利の引き上げです。そして、これらは経済を不安定にし、消費者心理にも大きな影響を与えました。消費者は、必需品のみを選択せざるを得なくなり、必需品とはみなされない娯楽用のカンナビス製品の売り上げが大きく減少しました。その上、合法的な大麻企業がこの苦境の中どのように運営資金を集めることができるのかが注目されるようになりました。
しかし、27日のSAFE Banking Act法案提出のニュースは苦境に立たされている合法的大麻企業に大きな希望を与えることになり、それを受けて大麻企業の株式が軒並み上がりました。Tilrayは9%高、Aurora Cannabisは4%、Cresco Labsは15%増、そしてGreen Thumb Industriesも7%高となりました。TilrayだけでなくCronos Group、Curaleaf Holdings Inc.、SNDL Inc.など他のカナダの大麻企業の株式も高値で終わりました。
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米国大麻全面解禁の可能性
では、この銀行法はアメリカの大麻完全合法化を後押しするのでしょうか。合法大麻企業の中には、この法案を提出すること自体が大麻全面解禁への大きなステップだと考える人もいます。昨年、連邦大麻合法化への期待は見事に打ち砕かれてしまいましたが、今回の銀行法提出により、大麻が連邦レベルで合法化される可能性が高まるのではと期待が集まっています。去年は上院で承認されなかった法案が、上院の投票までたどり着いたことは、議会の気持ちの変化を示しており、最終的に大麻合法へとつながる可能性があります。
まとめ
アメリカ連邦レベルでの大麻合法化は数年前からささやかれているにも関わらず、まだ実現していません。しかし、大麻を完全に合法化する州が増えていますし、医療大麻または少量のTHCが入ったCBD製品を許可する州が多くなっています。今回の銀行法が可決されれば、北アメリカの大麻企業が大きく飛躍する機会を得ることになり、それに伴い市場が拡大し、新たな製品も開発されていくでしょう。アメリカ全土50州の中で完全にカンナビスを違法と定めている州がわずか5州しかないことを考慮しても、市場が拡大すれば他の州も大麻を完全合法化にするかもしれません。完全合法化する州が増えれば、その分連邦議会での論議も活発になり、アメリカ全土で大麻が合法化される日が近づく可能性があります。アメリカ市場の拡大は、日本市場にも大きく影響を及ぼすでしょう。大手の大麻企業がより確かな資金源を得て、議会の支持を受けることができれば、製品の開発も活発になり、より多くのCBD製品が日本でも入手できるようになる可能性があります。また、株の売買をする人は北アメリカの大麻企業株に注目すると良いかもしれません。
参考元:Business Insider、Seeking Alpha、The Globe and Mail
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