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その整腸作用で一般的に知られているプロバイオティクスは、近年ヨーグルトやキムチなどの食品だけでなく、サプリメントなどで消化器官の健康のために摂取する人が年々増えています。最新の研究ではお腹の健康だけでなく、女性の健康そして膣ケア（フェムケア）にも効果があると示唆しているものもあり、自然療法やホリスティック・クリニックではプロバイオティクスを座薬として使用しているところもあります。プロバイオティクスは本当に女性の健康や膣ケアに効果があるのかを検証してみたいと思います。
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プロバイオティクスとは
プロバイオティクスは、腸内で様々な働きをする生きた微生物で、私たちの身体のあらゆるシステムをサポートしています。栄養補助食品や発酵食品に含まれていますが、私たちの体内に自然にあるマイクロバイオーム（微生物叢）にも含まれています。健康なマイクロバイオームは、尿路感染症、カンジダ症、SIBO（小腸内細菌異常増殖症）、潰瘍性大腸炎、IBS（過敏性腸症候群）、大人のニキビなどの女性がかかりやすい様々な疾患の予防につながると言われています。また、食べ物の消化、ビタミンB群であるチアミンやリボフラビンなどの必須ビタミの合成、水分吸収、腸内細菌叢に害を与える細菌予防などを助けるという私たちの身体にとって不可欠な働きをします。
プロバイオティクスの女性の健康への利点
では、プロバイオティクスが私たちの膣ケアにどのような効果を与えるのか見てみましょう。
膣の健康
いくつかの研究では、プロバイオティクス食品に含まれる乳酸菌の一種であるLactobacilli（ラクトバシラス属）が膣内感染症の治療と予防に有効であることが明らかになっています。膣内感染症の一つである細菌性膣炎は、骨盤内炎症性疾患や妊娠合併症を引き起こす可能性があります。健康な膣のマイクロバイオームは、良好な妊娠期間および赤ちゃんの健康のためにも大切です。ある研究は、赤ちゃんの最初の消化器内微生物は、赤ちゃんが産道を通るときに「植えつけられる」と示唆しています。そのため、帝王切開分娩よりも自然分娩で生まれた赤ちゃんの方がアトピーや喘息、自己免疫疾患などの腸内環境や免疫系発達に関連する疾患にかかりにくくなるという可能性を示しています。
女性は男性に比べて８倍も尿路感染症にかかりやすいと言われています。また、男性器に比べて女性器（膣）や尿道は肛門の近くに位置しているため、尿路感染症だけでなくイースト菌感染症、細菌性膣炎などの感染症にかかりやすくなっています。これらの感染症を防御するには、免疫力を上げ、膣内のマイクロバイオームのバランスを保つことが必要です。必須の栄養素を吸収し、免疫系に栄養を与えるのは腸内マイクロバイオームなので、膣内マイクロバイオームの健康は、腸内マイクロバイオームの影響を受けています。腸内の善玉菌を増やし環境を整えることで、膣内の微生物環境を整え、私たちの膣を健康に保つことができます。
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生殖能力
結論を出すにはまだ多くの研究が必要ですが、動物実験ではプロバイオティクスを投与して膣内マイクロバイオームのバランスを適切に整えると生殖能力が高まるという結果と共に妊活をしている女性にも同様の効果があることを示唆しています。
ホルモンのバランス
腸内の善玉菌には多くの役割がありますが、その一つは、食物から抽出した植物性エストロゲンと甲状腺ホルモンを再利用することです。これは、部分的にですがホルモンバランスを整え、月経前症候群（PMS）や更年期障害の症状を軽減する効果があります。また、このホルモンバランスが回復すると、乳房や骨の健康を保持する効果もあります。
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その他のプロバイオティクスの利点
プロバイオティクスには、他にも次のような効果があると言われています。
- 腸内環境を整える：一般に知られている第一の利点は、健康な腸内環境を促進し、保持することです。プロバイオティクスは、消化酵素が安全に働ける環境を確保し、不要な細菌、寄生虫、その他の病原体が速やかに体外へと排出されることを促し、老廃物処理システムが正常に働くように補助し、下痢や便秘のリスクを軽減します。
- 免疫機能を整える：2019年に行われた研究では、健康な腸内細菌が腸壁の透過性を低下させ、悪い微生物が腸壁から血管へと流れ込むのを防ぐことができると結論付けています。免疫系の80％が腸内に存在しているため、腸は私たちの健康のカギを握っていると言えます。特に女性は、男性に比べてテストステロン（男性ホルモン）が10分の１の量しか分泌しないため、自己免疫疾患、甲状腺機能低下症などの甲状腺疾患にかかりやすいと考えられています。腸内の善玉菌は、悪玉菌が引き起こす炎症を抑え、慢性炎症が抑えられれば、自己免疫疾患や甲状腺疾患のリスクを軽減できる可能性があります。
- 精神のバランスを整える：私たち女性のホルモンバランスは、月経期、妊娠期間、更年期などに変化し、ホルモンバランスが崩れることで気分の変化も激しくなる可能性があります。月経周期になると、気分が上がったり下がったり、特に理由もないのに、泣いたり怒ったりしたくなるのはホルモンバランスの変化が原因です。腸内のマイクロバイオームが健康な状態で保たれれば心の健康も保たれますが、マイクロバイオームが乱れると気分の変化にも影響を及ぼすとある研究では示唆されています。これは一般的に、腸内細菌は体が分泌するホルモンを模倣し、迷走神経を通じて脳とコミュニケーションをとることができるためです。この機能は「脳腸相関」または「脳腸軸」と呼ばれます。
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- 睡眠を改善する：睡眠の質と時間は、更年期を含む多くの要因の影響を受けます。研究によると、身体が睡眠不足の時に繁殖する微生物は、私たちの体内時計（概日リズム）を乱す可能性があると示されています。様々な細菌で成る腸内マイクロバイオームは、これらの微生物と効果的に競合することで、睡眠に影響を与える微生物の過剰繁殖を防ぐことができます。
- 肌荒れを改善する：体内のマイクロバイオームが免疫系に影響を与えるため、腸内環境が悪化すると肌荒れの原因となることが2019年の研究で明らかにされています。皮膚は、体外にある悪い細菌や微生物に対する最初の防壁で、体内の粘膜や腸壁と協力して細菌や微生物が体内に侵入するのを防ぎます。プロバイオティクスは、体全体の健全な微生物叢をサポートし、多様なマイクロバイオームは、肌荒れなどを引き起こす微生物の過剰繁殖を防ぐ可能性があります。
- 減量をサポートする：ある研究では、プロバイオティクスのラクトバチルス・ガセリ菌が減量ダイエット中の女性の脂肪吸収を防ぐ働きをすることを発見しました。この研究では、プロバイオティクスを摂取したグループは、摂取していないグループよりも早く体重を減らすことに成功したと報告されています。
まとめ
膣内の環境を整えることは膣ケア（フェムケア）の基本です。私たちの性器を適切な方法できれいに保ち、敏感なデリケートゾーンの皮膚にやさしいインティメイトオイルやウォッシュなどで直接デリケートゾーンをケアすることも大切ですが、食事やサプリメントなどでプロバイオティクスを適切に摂取し、膣内マイクロバイオームのバランスをとることが健康な膣、そして適切なフェムケアに繋がることがわかりました。現在市場には数多くのプロバイオティクス食品があり、毎日おいしく食べられます。乳製品アレルギーや過敏症の人でも、乳製品を使わないプロバイオティクス・サプリメントが販売されています。膣ケアのルーティンにプロバイオティクスを加えてみてはいかがでしょうか。お腹や肌の調子が良くなるだけでなく、生理前の気分が改善したり、減量のサポートをするなど、フェムケアだけでなく、私たち女性にとって嬉しい多くの効果が期待できそうです。
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参考元：Amy Myers MD、Bottom Line、COPE Wellness Clinic、healthline、Live Science
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