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2022年3月7日に厚生労働省からHHC（ヘキサヒドロカンナビノール）と共に危険ドラッグ指定されたΔ9-THCP（デルタ9-テトラヒドロカンナビフォーロール）をご存知でしょうか。アメリカでは「合法」として現在も販売されていますが、何故日本では違法と判断されたのか、Δ9-THCPとはどのようなものなのかを調べてみたいと思います。
カンナビノイドとは
カンナビノイドはマリファナやヘンプなどの大麻植物に含まれる化学物質の総称です。麻に含まれている主なカンナビノイドはTHC（テトラヒドロカンナビノール）とCBD（カンナビジオール）です。大麻植物に含まれているカンナビノイドの種類は現在確認されているだけでも100を超え、中には最終的に200を超えると考える研究者もいます。各カンナビノイドの特性や人の体に与える影響などの研究はまだ初期段階で、カンナビノイド全ての種類の特性や副作用などが解明されるにはまだまだ時間がかかると考えられます。
CBDとして知られるカンナビジオールは、THCに次いで2番目に多く含まれており、大麻植物抽出液の最大40％を占めています。脳に影響を及ぼし高揚感や陶酔感などのいわゆる「ハイ」な状態にするTHCとは異なり、CBDにはそのような向精神作用がありません。CBDには、不安解消、痛み緩和、心臓と脳の健康改善など多くの利点があります。
様々なCBDオイルの利点に関しては、こちらの記事をご参照ください。
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CBDの合法性
CBD（カンナビジオール）には、脳に影響を与え高揚感や陶酔感など「ハイ」な状態にする向精神作用が無いため、THC（テトラヒドロカンナビノール）のような日本で禁止されている薬物ではありません。欧米では0.2～0.3%までのTHC含有量は産業ヘンプと見なされ、アメリカでは2018年に産業ヘンプの合法化が認められました。他にも、医師によるCBD処方薬は現在Epidiolexというてんかんに効くCBD薬が食品医薬品局（FDA）により認可されています。その他にも合成CBDとTHCの処方薬、nabilone、dronabinolなどがFDAにより認証されており、合成CBDとTHCの混合薬であるSativexは、アメリカでは現在治験中ですが、カナダやヨーロッパでは認可されています。日本では完全に検知不可能なゼロTHC製品のみが厚生労働省の審査・認可を受け、日本に輸入されています。
THCとは
THC（テトラヒドロカンナビノール）は、CBDやHHCと同様に大麻植物に含まれる化学物質で、違法薬物であるマリファナ特有の向精神作用のほとんどに関係しています。私たちの体内にあるカンナビノイド受容体は、思考、記憶、喜び、協調、時間知覚に関連する脳の特定領域に集中して存在しています。THCはこれらの受容体に付着し、受容体を活性化し、人の記憶、喜び、身体の動き、思考、集中力、協調性、感覚、時間知覚に影響を与えます。多幸感、陶酔感、幻覚作用を引き起こす向精神成分で動悸、記憶障害、不安症などの副作用がありますが、特に中毒性と若いころからの長期使用による統合失調症などの精神疾患リスクが危惧されています。
THCとCBDの違いなど詳細はこちらの記事をご覧ください。
Δ9-THCPとは
2019年12月末にΔ9-THCP（デルタ9-テトラヒドロカンナビフォーロール）が発見されたと研究結果で報告されました。その構造はTHCとほぼ同じですが、体内にあるカンナビノイド受容体CB1と結合する能力がTHCと比較して約33倍あると示唆されています。結合する能力が33倍あるからと言って、その効果がTHCの33倍というわけではありませんが、確かにTHCよりも強烈な陶酔感を引き起こすため、ごく少量で早く効果が現れると報告されています。THCPは、THC-Oよりも約1.5倍強く感じられ、THCの5～10倍、Δ8やΔ10の10～20倍の効果を感じると言われています。現在確認されている向精神作用のあるカンナビノイドの中では最高強度を誇ります。
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Δ9-THCPの効果と副作用
イタリアで行われた研究では次のような生理学的効果が示唆されています。
- 低可動性
- 鎮痛作用
- 直腸温度の低下
これらは基本的にTHCと同じですが、強度が異なります。恐らく強い鎮痛作用があるかもしれませんし、不眠症患者にとっては強力な睡眠補助剤となる可能性があります。しかし、それらを裏付ける科学的証拠が無ければ推測することさえできません。
最近発見されたカンナビノイドなので、副作用に関しても裏付けとなるデータがまだありません。しかし、THCと構造が似ていることから、次のようなTHCと同様の副作用が予想されます。
- 偏執病
- 不安
- 自己意識
- 眠気
- 倦怠感
- 覚醒
- 口渇
- 目の充血
- 一時的な記憶障害
- 吐き気
- 嘔吐
THCPはTHCよりもCB1受容体により効果的に結合すると言われているため、副作用もより顕著に現れる可能性があります。
CBDにはストレス緩和、不安の軽減、不眠の改善、抗酸化・抗炎症作用、アンチエイジングまで様々な効果が期待されています。EU初のCBD上場企業「ヘンプリーバランス(Hemply Balance)」が開発した、スイス産オーガニックヘンプ抽出の高品質CBD製品はこちらから購入できます。
THCPは自然成分それとも合成成分？
THCPは、ヘンプ成分に熱を加えることでTHCAがTHCに、CBDAがCBDになるようにTHCPAがTHCPに変化します。元々ヘンプに含まれている自然成分ですが、その含有量は本当に微量でしかありません。そのため、製品として販売されているTHCPはHHCと同様にほぼ完全な合成成分だと考えられます。日本は合成カンナビノイド系を禁止していますので、THCPも危険ドラッグとして指定されたのだと考えられます。
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アメリカ国内での扱い
日本では違法となりましたが、アメリカでは現在も「合法」ヘンプ製品として販売されています。これは、2018年農業法により0.3%までのTHCを含む大麻は産業ヘンプとして合法化され、その法律に則ると産業ヘンプから抽出し合成されたTHCPは「ヘンプ由来」なので合法だという解釈になるからです。ただし、アメリカも日本と同様に「合成大麻（偽大麻）」や「THC」は違法となっています。市場に出回っているTHCPが完全な合成だと認められれば違法と見なされる可能性が大きく、メーカーによっても「ヘンプ由来の自然成分だから合法だ」と主張するところもあれば「ほぼ合成だから判断が難しいところだ」と言葉を濁す会社もあります。THCPはHHCと同様に連邦政府レベルでは合法ですが、州別でみると38州でしか許可されていません。マリファナを2012年に全面的に合法としたコロラド州では、THCPもHHCも合成物質で健康被害のリスクが大きく、その安全性も不明なことから「規制薬物」と認定および禁止されています。
合成カンナビノイドの危険性
THCPそのものは、微量でもヘンプに自然に含まれている成分なので「大きな危険性」はないかもしれませんが、問題はその作り方にあります。ヘンプに含まれているTHCPは微量すぎて製品化しようとすれば合成するしかありません。その際に使われる化学物質や、工程で生成物に残る成分、正規の基準やガイドラインがないため原材料の質や含有成分表示の正確さなど多くの不安と危険が潜んでいます。また、THCPはTHCよりも強力であることから少量で強い向精神作用や幻覚作用が現れる可能性が高くあります。最大の懸念は、その効能に関する科学的研究が行われていないことから、効果、副作用ともにそれらを証明する裏付けがないことです。
まとめ
先日厚生労働省が危険ドラッグに指定したカンナビノイドΔ9-THCPは、マリファナのTHC成分と構造が似ているものの、THCよりもはるかに上回る向精神作用があり、現在分かっている向精神カンナビノイドの中では最強だという事がわかりました。産業ヘンプに含まれるTHCPは極微量のため、製品化するには成分を合成するしかなく、市場に出ている全製品が合成と言えます。向精神作用や幻覚作用があるだけでなく、合成カンナビノイドはその生成方法などに問題が多く、健康被害リスクが大きいため日本政府が危険ドラッグに指定したのも当然と言えます。
また、現在アメリカでは「合法」と称されていますが、2023年に農業法の見直しが予定されているため、このまま合法になるのか、合成薬物として違法と見なされるかの判断に注目が集まりそうです。
参考元：CBD Oracle、Daily CBD、New Atlas、Scientific Reports
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