フェムケアコンシェルジュの木川誠子です。フェムケアをテーマに不定期でコラムを執筆しています。今回は、デリケートゾーンケアと腟内ケアの違いについて。
デリケートゾーン=腟内ではない
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ここ数年でデリケートゾーンをケアする認識が広がっています。デリケートゾーン以外にも、フェムゾーン、インティメイト、ハイジーンなど、さまざまな言い方がありますが、一般的には外陰部を指しています。外陰部とは、恥丘(ちきゅう)、陰核、大陰唇、小陰唇などが含まれる外性器がある場所のこと。
脱毛のときに用いられるVIOで例えると、Vゾーンは恥丘(ちきゅう)周辺、Iゾーンは大陰唇や小陰唇周辺、Oゾーンは肛門まわりを指し、その場所すべてが外陰部です。
臓器ではなく、エリアの名称として使われていますが、腟内もデリケートゾーンに含まれると認識している人も一定数いるのでは……と感じることがあります。デリケートゾーンと腟内はまったく別です。
腟は、ヒダ状の小陰唇に挟まれている腟口から子宮口までを指す生殖器のひとつで、体内にあります。腟内のケアは医療行為になるので、医師のいない美容クリニックやサロンでは施術ができません。セルフケアも基本的には不要だと考えています。その理由は、腟には自浄作用(じじょうさよう)があるからです。
いいバランスに整える能力がある
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この自浄作用とは、何もしなくても、自らが清浄する能力のことです。
腟内にはデーデルライン桿菌(かんきん)などの菌が存在し、分泌液によって酸性に保たれることで細菌などの侵入を防いでいるとされていますが、それが自浄作用による働きです。腟は、適した状態に整える力が備わっているので、セルフケアは基本必要なしと考えるのが自然。とはいえ、過度なストレスや生活習慣の乱れなどの影響を受けて、自浄作用は乱れると言われているので、そういった意味ではケアをするほうがいい側面も。
ただし、直接的なケアではなく、気になる症状があるときは、まずは婦人科へ。そのうえで、生活習慣を整えたり、ストレスは適宜リリースしたりしながら、腟内ではなくデリケートゾーンを適度にケアするのがいいと考えています。
正しい知識を持ってセルフケアをする
●デリケートゾーンは清潔にして保湿する
デリケートゾーンと腟内ケアは別物であることをはじめ、セルフケアには正しい知識が必要です。そして、デリケートゾーンは清潔にして保湿することが基本。
特に大陰唇と小陰唇のキワは恥垢(ちこう)と呼ばれる、尿やおりもの、皮脂、汗などが混ざり合った垢が溜まりやすいと言われているため、指の腹でなでるように洗うことは大切です。その後は、デリケートゾーン用のオイルなどで保湿も忘れずに。
●ケアするときは専用のアイテムを使う
デリケートゾーンの肌のpH値は、顔とも、身体とも異なるので、専用のアイテムを用いるのが基本です。デリケートゾーン用に作られていることはもちろんですが、『ヘンプリーバランス』のように産婦人科医が開発していると、より安心して使うことができると思います。
また、産婦人科の先生に取材をしていると、「洗いすぎでトラブルになっているケースもある」というお話を聞くこともあるので、ケアは1日1回。ニオイやかゆみが気になるから……と、何度もケアせず、そういうときは婦人科を受診することが大事。1日1回のセルフケアは、お風呂に入ったときに洗浄して、アウトバスで保湿をするのが基本のスタイルです。
(プロフィール)
フェムケアコンシェルジュ 木川誠子
出版社勤務を経て2009年よりライター・エディターのフリーランスとして活動。ウェルネスや美容、ライフスタイルのコンテンツを発案し、ディレクションから執筆まで一貫して携わる。2016年から兼ねてより関心のあったフェムテック領域に本格的に取り組み始め、フェムケアをはじめ、五感を通して自分を知るための”フェムアートプロジェクト”を立ち上げる。2022年には『株式会社k company』を設立し、その実践の場を創造・提供。また、10年以上の取材による知見と3000個以上のフェムケア製品を試した経験を活かしてメディア出演やセミナー講師など、多岐に渡って活動中。https://kcmpny.com/