近年、抗生物質に耐性を持つ多剤耐性(MDR)細菌の感染が世界中で増加しており、健康に深刻な脅威をもたらしています。新しい抗生物質が不足している現状において、感染症に対する抗生物質に依存しない治療や予防の方法が重要視されています。欧州細菌学会ジャーナルは、古くから健康に良いとされているカンナビスに注目し、カンナビスのさまざまな成分が細菌に対する抗菌作用を持つことを確認したと発表しました。特に、いくつかのカンナビノイドは、多くのグラム陽性細菌に対して強力な抗菌効果を示し、特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に効果があることがわかっています。また、特定のカンナビノイドが細菌のバイオフィルム形成を阻止し、既存のバイオフィルムを破壊する効果も示されました。
しかし、血液の存在下では抗菌効果が減少するため、全身的な抗生物質として使用するのは現実的でないとされています。それでも、カンナビノール(CBG)は動物モデルで全身感染に対する効果が確認されており、さらに研究が進めば治療選択肢として期待できます。また、局所的な使用や免疫機能を高める可能性も示唆されており、将来的には細菌感染症の治療法としてカンナビス成分が有望と考えられます。