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アメリカは産業ヘンプを、カナダは大麻を合法化してから5年が経ちました。この5年の間に、アメリカでも多くの州が医療大麻や娯楽大麻を合法化したり、オーストラリアやアジアではタイでも医療大麻が合法化されています。大麻植物由来の成分であるCBDは、世界保健機関(WHO)が「重篤な副作用や中毒性が認められない比較的安全な成分」と認定しています。また、2020年12月には国連麻薬委員会が大麻植物から抽出される化学物質(カンナビノイド)の効能を認め、治療目的で利用するために大麻をヘロインなどと同じ薬物リストから外しました。こうしたことから、カンナビノイドの有益な効果を認める国が増加していますが、ヨーロッパではどうなっているのでしょうか。
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ドイツ
ドイツでは既に大麻合法化改革が進行中で、世界最大の合法大麻市場となる予定です。2020年10月の政府計画によれば、THC成分を15%に制限し、成人の娯楽目的での大麻使用を合法化する予定でした。ただし、この1年間で計画は何度も修正され、大麻を合法化したくない他のEU諸国からの懸念や反対により、法案が一時は取り下げられる危険がありました。
2023年4月に、EUの規定に準拠する形で、大麻ソーシャルクラブ(CSC)を通じた非営利栽培と、認可を受けた「専門店」の5年間の地域パイロットプログラムが新たに承認されました。この法案の第一段階では、成人が出来るだけ早く「クリーンな」大麻を利用できるようにすることを目的としており、第二段階は完全合法化までの橋渡しとなっています。最初の法案に比べると厳しく規制された計画となりましたが、下記のような特徴があります。
- 18歳以上21歳未満のCSC会員にはTHCは10%まで、一か月あたり最大30グラムまでの大麻と制限を設ける。
- CSC内または半径250メートル以内で大麻を摂取しない。
- CSCは、若者へアピールしないパッケージや無包装の大麻のみを会員に配布すること。最大量は50グラムまでとし、重量、収穫日、賞味期限、品種、THC/CBD値を記載したリーフレットを提供すること。
- 自家栽培は、CSCから購入した種子または苗木を使用し年間3本まで栽培できる。
この法案の第一段階は、2024年初めに制定される予定です。
オランダ
多くのコーヒーショップがあるオランダは、ヨーロッパの娯楽大麻ホットスポットの1つです。ただし、ただし、これらのショップ以外での大麻の販売と栽培は依然として違法とされているため、大麻の供給業者は他の企業に提供することはできません。5グラムまでの大麻所持は非犯罪化されますが、それでも警察が没収する可能性はあります。
2019年に政府は特定の栽培者に国内のすべてのコーヒーショップに合法な大麻を供給する実験を承認し、このパイロットプログラムは2023年12月15日から開始される予定です。このプログラムの初期段階では、厳格に管理された2つの公式大麻栽培業者が国内2つの市内にあるすべてのコーヒーショップに大麻を供給します。段階的に、より多くの栽培業者と市が参加し、大麻の供給と販売を行うことになります。このプログラムはオランダ国内の規制された大麻市場の影響を調査し、犯罪を防止し、最終的には大麻の品質と安全性を管理しながら娯楽用大麻を合法化することを目指しています。
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ポルトガル
2001年にポルトガルは全ての麻薬の個人所持を非犯罪化しました。10日分以下の量の麻薬を所持する個人は逮捕されず、代わりに出頭命令を受け、法律、社会、心理の専門家からなる「中止委員会」に出席する必要があります。大麻に関しては、個人所有は非犯罪化されていますが、密売、栽培、流通、販売は依然として禁止されています。大麻合法化については、ポルトガル議会内で議論は続いていますが、具体的な進展はまだありません。
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チェコ共和国
チェコでは2010年に、10グラムまでの大麻の個人所持と5株までの大麻植物の栽培が非犯罪化されました。チェコは、ヨーロッパで大麻の使用率が最も高い国の一つで、現在、大麻合法化の計画が進行中です。2022年9月には、成人の娯楽用大麻使用の合法化に関する法案が策定され、2024年までに成人が認可を受けた薬局から大麻を購入できるようにする完全合法化が予定されていました。
大麻規制計画は、自家栽培、大麻ソーシャルクラブ、商業市場の3つで構成され、国際法の遵守と国家収入の創出を目指しています。草案によれば、1日あたりの消費上限量は5グラムとし、栽培者と販売者がタバコやアルコールに課せられる税金やライセンス料を支払う消費者登録制度が組み込まれます。ただし、大麻の広告は完全に禁止されます。
しかし、非医療用大麻製品は国内市場規制の対象となる「商品」として分類されるため、EU法に抵触する可能性があるだけでなく、大麻を禁止している近隣国がチェコへの輸入を阻止する可能性があるため、法的紛争につながる可能性も考えられます。それにも関わらず、チェコは大麻合法化を推し進める決意を表しています。EU司法裁判所に訴えることになっても、裁判が長期にわたる可能性があるため、その時点には既にチェコ国内の大麻産業は十分に確立され、閉鎖することが困難になるだろうと考えられています。
スイス
スイスは大麻合法化に向けた試験プログラムの真っ最中です。2022年8月に、スイスは麻薬法を改正し、患者がスイス連邦公衆衛生局の許可なしに医師を通じて医療大麻の処方箋を入手できるようにしました。この改正案により、医療大麻の輸出も許可されました。
2023年1月に、スイスは「大麻ケア」パイロットプログラムを開始し、選ばれた参加者がバーゼル市の薬局から娯楽用大麻を購入できるようにしました。この2年半にわたるプロジェクトは、バーゼル大学、大学精神科クリニック、バーゼルシュタット保険局が協力し、合法化の実際的な側面を検証および理解することを目的としています。参加者は厳格に監視され、ハシシや花芽を含む6種類の大麻製品へアクセスできますが、プログラム外で大麻を共有することは禁止されています。
さらに、8月にはチューリッヒで3年間にわたる2つ目のパイロットプロジェクトが開始されました。これには2100人を超える参加者と21の薬局が参加し、将来の大麻規制に向けたデータ収集に焦点を当てています。ベルン、ビール、ルツェルンでもパイロット研究が計画されています。スイスの大麻改革に対するアプローチは慎重で、エビデンスに基づいた実験を重視しており、完全合法化の予定はまだ不透明ですが、合法化に向けて前向きな姿勢を示しています。
ベルギー
ベルギーは、ヨーロッパの新たな大麻合法化に向けて進む可能性のある国として注目されています。ベルギーの副種総研経済雇用大臣のDermagne氏は、「大麻合法化は常識であり、成人の大麻使用者を犯罪者とすることは、もはや意味がない」と明言しました。これは、大麻改革を導入することで、各州は社会により大きな影響を与えている問題に焦点を当てることが可能となり、警察のリソースをより効果的に配分できるようになるだけでなく、合法化により年間約6億6千万ユーロの収入が見込まれると推定されています。
近隣諸国の大麻改革の状況に注視し、特に公衆衛生に対する確固たる姿勢と大麻ソーシャルクラブの導入を特徴とするドイツのアプローチに関心を持っているようですが、今後のベルギー政府の動向が注目されます。
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ルクセンブルク
最後になりましたが、ルクセンブルクは今年の夏に大麻の自家栽培を合法化し、所持に対する罰則を軽減する2番目のEU加盟国となりました。
6月にルクセンブルク議会は大麻合法化法案を可決し、7月に最終手続きが行われました。この法案では、成人は公道から見えない自宅内の安全な場所で最大4株の大麻植物を栽培することができます。また、3グラムまでの大麻所持が非犯罪化され、所持で捕まった場合でも刑罰が軽減されます。個人的な消費はプライベートな場所である限り許可されますが、公共の場または未成年者の前での消費は禁止されています。これにより、政府は州規制の対象となる商業用大麻市場への参入を模索する予定で、将来的には店頭販売も視野に入れています。
まとめ
CBDを含む大麻植物成分(カンナビノイド)の研究が進展すると同時に、さまざまな製品の開発と販売が広まっています。また、カンナビノイドの効果が明らかになるにつれて、世界中で多くの国がCBDやカンナビノイドを受け入れるようになり、世界保健機関(WHO)はCBDを「比較的安全な成分」と認定し、EUはカンナビノイドを「新しい食品」と規定しました。
ヨーロッパでは大麻を断固として禁止している国もありますが、オランダ、スイス、チェコ、ベルギーなど複数のEU加盟国が大麻合法化を検討しています。その中でもEUの大国、ドイツが近い将来合法化を実現することで、より多くのEU加盟国が大麻の合法化に前向きになると考えられています。
引用元:An Update on European Cannabis Reform – Volteface
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