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Photo by Lucas Vasques on Unsplash

世界中でさまざまな研究が行われている大麻植物(カンナビス)の成分。日本でも、CBDやその他のカンナビノイドを含む製品の販売が増えてきました。しかし、大麻植物に含まれるカンナビノイドが私たちの体内でどのように作用するのかご存知でしょうか。この記事を読んでいる皆さんの中には、私たちの体内にあるエンドカンナビノイドシステム(ECS)の存在をご存知の方もいらっしゃるかと思います。今日は、ECSの機能や役割、さらにはカンナビノイドがどのように作用するかといった研究結果をご紹介したいと思います。

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医学の進歩は著しいですが、人体にはまだ多くの謎が残っています。その中でも、エンドカンナビノイドシステム(ECS)は研究が遅れている一つの例です。このシステムはアポトーシス(プログラムされた細胞死)の調整や神経伝達物質のバランス、体内の恒常性に重要な役割を果たす一方、その名前からくる偏見のためにその重要性が十分に認識されてきませんでした。今回の記事では、ECSの機能や未解明の重要な役割に焦点を当てながら、カンナビノイドの潜在的な利点について探ってみたいと思います。

エンドカンナビノイドシステムの構造と機能

私たちの体は、エンドカンナビノイドシステム(ECS)のおかげで、細胞間の複雑なシグナル伝達、遺伝子の変異、環境や外部からの影響の中でも恒常性(ホメオスタシス)を維持することができます。ECSは私たちの体の至る所に存在し、恒常性を保つために働いています。ECSはエンドカンナビノイド、酵素、カンナビノイド受容体で構成されています。カンナビノイド受容体は、他の細胞とは異なる「オーバーライド」信号の機能を持っています。例えば、足の指を骨折すると、その周りの細胞が死にます。この細胞死によって引き起こされるリンパ反応により、血流が増加し、骨折部には炎症反応が生じます。しかし、ECSは過剰なリンパ信号を検出し、炎症を大きくする必要がないと判断すると、免疫細胞や組織に存在するカンナビノイド受容体がカンナビノイドと結合し、炎症反応を緩やかに和らげる働きをします。

同様のプロセスが脳内の痛み信号でも起こります。カンナビノイド1受容体(CB1受容体)とカンナビノイドが結合することで、ガンマアミノ酪酸(GABA)神経伝達物質が増加し、これにより脳全体の痛み信号が減少します。ECSにはCB1受容体とCB2受容体の2つの主要な受容体が存在し、CB1受容体は主に脳細胞内に存在し、CB2受容体は中枢神経系や末梢神経系、免疫系、白血球内に存在します。また、CB3受容体の存在を示唆する研究もあります。これらの受容体は体の各所に多数存在しますが、それぞれ独自の特性を持っているのです。

エンドカンナビノイドとは

エンドカンナビノイドとは体内で生成されるカンナビノイドのことで、現在、ECS内で作用する複数のカンナビノイドが確認されています。これらのカンナビノイドは、単に抗増殖、抗炎症、抗転移の役割を果たすだけでなく、神経伝達物質、免疫系、ミトコンドリア機能とも関連していることが示唆されています。アナンダミドと2-アルキドニルグリセロール(2-AG)が主要なエンドカンナビノイドです。アナンダミドは「至福の分子」とも呼ばれ、例えばチョコレートを食べたいと思っている時にチョコレートを食べると放出されます。アナンダミドは体の痛みだけでなく心理的な不快感を軽減する可能性があり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に悩む人々にも効果がある可能性が示唆されています。また、乳がん細胞の抗増殖効果もあることが報告されています。

2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)は、エンドカンナビノイドの中でも最も広く体内に存在し、CB1受容体とCB2受容体の双方に完全に作用するアゴニストです。そのため、ECSにおいて重要な役割を果たしています。この2-AGは、末梢免疫細胞で特に発現が高く、免疫抑制による抗炎症作用に寄与するだけでなく、脳内のCB1受容体に結合することで精神活性エンドカンナビノイドとしても機能していることが知られています。

Photo by Tim Foster on Unsplash

カンナビス(大麻草)

大麻植物には、カンナビノイド受容体を対象とする植物カンナビノイドが含まれています。その中でもテトラヒドロカンナビノール(THC)は、主にCB1受容体をターゲットとし、β-カリオフィレン(テルペン)はCB2受容体を対象とします。大麻植物に含まれるこれらの植物カンナビノイドは、基本的にECSを刺激する物質として機能するため、私たちの体内ではこれらをエンドカンナビノイドとして認識します。

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エンドカンナビノイドシステムの役割

現在分かっているエンドカンナビノイドシステム(ECS)の役割として、脂肪代謝、アポトーシス経路、ミトコンドリア機能があります。ECSは、脂肪細胞の生成、脂肪の蓄積、脂肪組織のグルコース吸収などのプロセスに重要であり、その中でもCB1受容体が影響を持っています。ECSの活性が高まると、神経伝達物質の放出を調節し、カンナビノイドの分解を抑制することで、長期間にわたって安定した神経伝達物質のレベルを維持できる可能性が示唆されています。

アポトーシスは、プログラムされた細胞死過程であり、体内のバランスを保ち、有害な細胞を排除するために重要です。大麻由来のTHCがアポトーシスを促進する可能性がある研究結果が示されており、ECSはさまざまな疾患の進行や炎症の制御に関与していることが明らかになっています。

ミトコンドリアは、細胞内で炭水化物や脂肪をエネルギーに変換する重要な役割を果たしており、障害を引き起こす可能性のある独自のDNAがあります。ECSは、さまざまな経路を通じて、カルシウム値の変動、炎症とストレスのバランスなどを含むミトコンドリア機能に影響を与えます。ECSの調節は、代謝、食欲、気分など幅広い側面に影響を及ぼすため、慎重に取り組むことが重要です。

Photo by National Cancer Institute on Unsplash

ECSと精神疾患の関係

エンドカンナビノイドシステム(ECS)は、総合失調症などの精神疾患の治療に有望なアプローチとして注目されています。精神疾患の重症度と関連する指標として、エンドカンナビノイドであるアナンダミドがECSの機能不全を示す兆候とされています。精神疾患は神経化学的な不均衡が関与しているとされ、この不均衡がECSの異常によって気分や知覚に影響を与える可能性が考えられています。神経伝達物質に加え、ECSを調整することでバランスを取り戻すことができれば、症状を管理するだけでなく、メンタルヘルスの問題に対して根本的な解決策を提供できるかもしれません。

HIV治療の可能性

HIVは免疫細胞であるT細胞の死(アポトーシス)を増加させる要因です。抑制されたアポトーシスが見られる癌とは異なり、HIVはT細胞のアポトーシスを促進し、これによってT細胞を破壊します。ECSを通じて、HIV初期段階でのT細胞のアポトーシスを調整することができれば、HIVウイルスを排除できるかもしれません。

癌治療の可能性

癌は、制御不能な細胞増殖や細胞死に耐性のある遺伝子変異によって引き起こされます。ECSは、アポトーシスを誘導することによって、癌の代替治療としての可能性があります。THCはアポトーシスを促進し、THC、THCA、CBD、2-AGなどのカンナビノイドを癌腫瘍に注入する戦略的アプローチは特にCB2受容体との結合を強化し、癌を中和する可能性があります。この方法は、特定の脂肪酸をブロックすることで癌細胞内のアポトーシスを促進し、癌細胞が正常なシグナルに反応できなくなれば、従来の化学療法に伴う副作用を最小限に抑えながら癌を撲滅できる可能性を示唆しています。

自閉症治療の可能性

自閉症は、中枢神経系におけるGABA作動性プルキンエニューロンの損失とミトコンドリアの機能不全と関連しています。ECSは神経伝達物質とミトコンドリアの機能に影響を及ぼし、さまざまな経路を制御する助けとなり、アナンダミドのレベルを増加させ、ミトコンドリアの機能を改善する可能性があり、これが自閉症の治療法につながるかもしれません。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療の可能性

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、脳と脊髄の神経細胞に影響を及ぼすアポトーシスとタンパク質の変化などの特徴を持つ神経変性疾患です。癌は制御不能な細胞増殖を引き起こしますが、ALSは制御不能な細胞死を誘導します。さらに、アポトーシスとグルタミン酸輸送の異常が相互作用して、ALSの進行に影響を与えている可能性があります。ECSは神経伝達物質としてグルタミン酸などに影響を与えるため、ECSを介してアポトーシスを減少させることで、最終的に治療への道を拓く可能性が考えられています。

てんかん治療の可能性

てんかんは、神経伝達物質、イオン経路、遺伝子の不均衡など、さまざまな原因が考えられる複雑な疾患です。すでにカンナビスはてんかんの発作を抑えるための薬として利用されていますが、より効果的な治療法としてECSをターゲットにする可能性があります。ECSの複雑な経路は、神経伝達物質と活動電位を操作して発作を軽減する役割を果たすことができます。また、ECSの機能障害がてんかんの一因となる可能性があるため、CB1受容体をターゲットとする新しい治療法の展開が考えられます。各エンドカンナビノイドの役割やECSとてんかんの関係を解明することで、長期にわたるカンナビノイド療法によって発作を引き起こす根本的な問題を解決できるかもしれません。

まとめ

エンドカンナビノイドシステム(ECS)は、私たちの体において最も重要なシステムの一つであり、そのホメオスタシス(恒常性)の維持機能と影響範囲は驚くべきものです。さらに、アポトーシス疾患、ミトコンドリア機能、脳機能においても重要な役割を果たしています。また、ECSの調整能力は非常に優れており、通常は「オフスイッチ」として抑制的な役割を果たしていますが、カンナビノイドを利用することで、抑制とは逆に促進することも可能です。さらに、カンナビノイドの分解速度の性質により、多くの薬に見られるような長期的な副作用のリスクがありません。

ECSは、治療法のない疾患に対する効果的なアプローチだけでなく、医療のアプローチそのものを変える可能性を秘めています。ECSの研究を進めることで、癌治療の化学療法やうつ病のSSRI剤、不安症のベンゾジアゼピン剤などの侵襲的な治療から、なぜ体がホメオスタシスを保つことが難しいのかという謎の解明に焦点を移すことができるかもしれません。その結果、これらの疾患におけるECSの役割を理解し、副作用の少ない安全な治療法を開発し、最終的にはこれらの疾患を根絶する可能性が出てくるかもしれません。

また、ECSと各種カンナビノイドの作用を理解することで、大麻植物の成分である植物カンナビノイドをより効果的に活用することができるようになるでしょう。2018年の米国のファーム法やカナダにおける大麻の合法化により、植物カンナビノイドの研究が活発化しており、それに伴いECSの研究も一層進展しています。前述の通り、ECSは難治性の疾患にも関連しているため、THCCBDなどの植物カンナビノイドを用いた新しい治療法やアプローチの開発に期待が寄せられています。

出典:CHAD A. SALLABERRY AND LAURIE ASTERN (2018), The Endocannabinoid System, Our Universal Regulator. Journal of Young Investigators. Institutions: Department of Biochemistry and Molecular Biology, Colorado State University, 111 MRB Building, Fort Collins, CO 80523
Nova Southeastern University, 3301 College Ave, Fort Lauderdale, FL 33314

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